今、最も勢いがある選手かもしれない。「皇帝」プルシェンコ氏が引退したロシア男子に新星が飛び出した。昨年12月のロシア選手権は合計281・16点で連覇。五輪シーズンにブレークしたコリャダは「私は昨季からロシアのトップを走っている自負がある」とプライドをにじませている。

 最大の武器は4回転ルッツ。チェン(米国)金(中国)らしか使えない大技だ。自己ベストはSP103・13点、フリー185・27点、合計282・00点。ノーミスならば、史上6人目の300点台も視野に入り、平昌五輪でメダルを十分に狙える。昨年11月の中国杯では金との「4回転ルッツ対決」を制してGPシリーズ初優勝した。4回転はルッツ以外にもサルコー、トーループを装備する。

 ロシア西部の古都サンクトペテルブルク生まれ。5歳で競技を始めた。12年世界ジュニア選手権は6位だった。14年8月に足首を骨折し、シーズンを棒に振った。それでもコツコツと練習して力を蓄えた。逆境を乗り越える方法について「可能な目標を立てて、まい進する。毎日同じことを繰り返す」という。演技の幅を広げるため、ペア、アイスダンスの表現面を、女子のスピンを参考にしている。

 リラックス方法は、サンクトペテルブルクから南にある別荘地に家族で行くこと。そこは森に囲まれ、小川が流れ、インターネットも、携帯電話の電波も通じないという。「冷静さを保つことが大事だ」という22歳はゆっくりとサウナに入ってパワーを養っている。

 昨年12月、国際オリンピック委員会がドーピング問題に伴い、ロシアの個人参加での五輪出場を決めた。ロシア選手除外という最悪のシナリオは免れて、コリャダは「正しい判断だったと思います。ロシアチームが参加しないオリンピックは想像できないからです」と話した。そんな騒動の渦中で初出場したGPファイナルで3位に入った。明日17日開幕の欧州選手権は地元ロシアで行われる。フィギュア王国のDNAを受け継ぐコリャダは、男子の優勝候補に挙がっている。【益田一弘】(この項終わり)

 ◆ミハイル・コリャダ 1995年2月18日、ロシア・サンクトペテルブルク生まれ。5歳で競技を始める。GPシリーズは昨年10月ロシア杯で初の表彰台となる3位、同11月中国杯で初優勝した。同12月に初出場のGPファイナルで3位に入った。趣味は卓球とビリヤード。身長168センチ。


ミハイル・コリャダの戦力チャート
ミハイル・コリャダの戦力チャート
プルシェンコ氏(2015年1月16日撮影)
プルシェンコ氏(2015年1月16日撮影)