今年もこの季節がやってきた。日本ラグビーの最高峰リーグ、トップリーグの開幕だ。

 トップリーグは2003年から開始され、日本のジュニアのラガーマンはトップリーグでプレーすることが目標だ。

 そもそもトップリーグはどのように選手たちが所属しているのかというと、企業から契約社員というスタイルで契約しているプロの選手もいれば、正社員として仕事をしながらプレーする選手もいる。

 つまり、チームの中にもそれぞれ異なる立場でプレーしている選手がいるのだ。チームによっては全員が正社員で契約しているチームもあるが、トップリーグは「企業スポーツ」という体制を保ちながら発展してきている。

 つまり、選手たちはそれぞれの契約形態で目標を持ちながらチームに貢献している。

 「15時まで仕事してからグランドにいきます」

 「僕は12時までです」

 「プロだから午前中はケアに充てて午後の練習まで自主トレします」

 選手によってスタイルは様々だ。

 私は、様々な立場でラグビーに関わる彼らにいつも感動する。

チームのメンバーの家庭のことや仕事の状況を踏まえて練習プランを考えるのも一苦労だと思うが、チームとして試行錯誤し、トップリーグの舞台に立つ選手たちを応援せずにはいられない。

 最近はサンウルブズが世界最高峰リーグ「スーパーラグビー」へ参入したこともあり、1年中ラグビーを楽しめる。スーパーラグビーは、南半球中心としたリーグだ。

 季節が日本と真逆なので、3月くらいから7月はスーパーラグビーにチャレンジし、8月からは日本のトップリーグが1月まで続く。トップ選手は大変厳しいスケジュールを1年間こなす。日本の選手がスーパーラグビーにチャレンジするように、海外の選手が日本のトップリーグでプレーすることも多くある。

 8月18日の開幕戦はサントリーとキヤノンだった。キックオフは19時30分。観客は満員とまではいかなかったが、熱気にあふれていた。

 注目すべきは、オーストラリア代表でキャップ数103のマット・ギタウ選手(34)だ。8月にサントリーに入団。ポジションはCTBやSO。今年6月まではフランスの1部リーグのトゥーロンでプレーした。

 サントリーに来た理由としては、ジョージ・スミス選手(37)の存在も大きかったという。日本に来てからのSNSの発信でも「Feels good to be back in the same team as this bloke(コイツと同じチームに戻ってこれて気分がいいよ)」とジョージ・スミス選手とのことを記していた。

 マット・ギタウ選手にとっての日本でのファーストマッチは、32-5でサントリーが制した。

 「日本のチームへきてやるべきことは、若い選手たちに、色んなことを伝えていきたい。それが自分の役目だ」

 「ラグビーをするうえで1番大切なことは、楽しむこと。スイッチをオフにすることやオンにすることが大切だが、常に楽しむこと。あとはコミュニケーション。ゲーム中のコミュニケーションはアクションにつながる」

 オーストラリア代表「ワラビーズ」で100キャップを越えるベテランは、日本のラグビーにどんなレガシーを残してくれるのだろうか。素晴らしい選手がこうして日本に来てくれることが、ラグビー界の特徴かもしれない。

 2019年ワールドカップは日本で行われる。トップリーグの盛り上がりこそが、ワールドカップを牽引してくれるものだと信じている。(伊藤華英=北京、ロンドン五輪競泳代表)