2年連続賞金王の今平周吾(28)が、アベ80台を目指すアマチュアゴルファーにヒントを伝授する「ゴルフステップアップ 今平周吾 賞金王の技」。元ロッテ捕手で現在本紙評論家の里崎智也氏(45)が生徒役。今回はアイアン編として、レベルアップのためのアドバイスとともに、里崎氏の悩みにも応えます。(以下敬称略)

最近のアイアンはストロングロフト化が進んでいるが、ボールを上がりやすくするために、併せて低重心化も実現している。10年以上前のモデルや、現在でもアスリート向けモデルの7番アイアンのロフト角は33~35度。最近のモデルでは30~32度が平均とも言われており、ぶっ飛び系と呼ばれるモデルは24~26度となってる。ロフト角31度はひと昔前なら5番アイアンに匹敵するロフト角だ。低重心化でボールが上がりやすくなっているとはいえ、ロフト角通りに上がっていないアマチュアも多い。しっかりロフト角通りに打ち出し角を確保する方法について、今平のアドバイスはこうだ。

今平 頭が前に出てしまう方が多いように思いますが、そうなると球は低くなります。里崎さんにもその傾向はあります。しっかり頭を残して打てれば、球は上がります。

頭を残して打てば球は上がります
頭を残して打てば球は上がります

里崎 あと、どの番手で打っても距離が変わらないんです。

今平 ロフトが立ってしまうということですね。

その原因はどんなことなのだろうか?

今平 身体の突っ込みだと思います。里崎さんの場合は、さらにリストが強いのでどんどんロフトが立ってしまっているように見えました。インパクトで右肩がかぶると突っ込みやすくなります。なるべく右胸を残すようなイメージでインパクトを迎えられれば、ロフト通りの弾道になります。

右胸を残す感じで
右胸を残す感じで

今平から説明を受け、インパクトの形のイメージを作った。

里崎 では、早速やってみましょう!

打ち出し角は気持ち上がっていたが…。

今平 ん~、トップの状態のまま、腕を下ろせますか? トップ位置の胸のままで腕を下ろして、体の回転でインパクトを迎えるイメージです。

トップ位置の胸のままで腕を下ろすイメージ
トップ位置の胸のままで腕を下ろすイメージ

里崎 こんな感じかな…。

今平のアドバイス通りにイメージを作り上げ、実際に放った里崎の打球は、まさかの大ダフリからのシャンク。スタッフが持つレフ板にボフッとなった。これまでは今平のアドバイスをイメージ作りだけですぐさまナイスショットにつなげてきたが、そんな里崎をもってしてもダフッた。

今平 打ちづらかったですか?

里崎 ダフっちゃいました。イメージは出したんですけどね。これは練習が必要。だいぶ前をダフりましたよ(笑い)。

まさかの大ダフリの里崎氏「地球を感じましたね」
まさかの大ダフリの里崎氏「地球を感じましたね」

今平 縦に下ろすことを意識しすぎて、そのままダフった感じですかね。

里崎 かなり意識しましたからね。逆に言えば、言われたとおりに意識しているってことですから。それをやろうと努力した結果です。今ホント、地球を感じましたね(笑い)。

取材スタッフからは「手首は大丈夫ですか?」と心配された。

里崎 これくらいは大丈夫です! トップ位置から手をそのまま下ろして、身体の回転で前に行かなければならないところを、そこからさらに下ろしてしまったんですね。それはダフリますわ!

◆今平周吾(いまひら・しゅうご) 1992年(平4)10月2日、埼玉県生まれ。08年埼玉栄高校1年時、松山英樹らを抑え日本ジュニアで優勝。翌年高校を中退して渡米、IMGゴルフアカデミーで2年間腕を磨く。帰国後、11年にプロ転向。チャレンジツアー賞金王の資格で出場した15年シーズンに初シード獲得。17年「関西オープン」で初優勝、現在ツアー4勝。マスターズに2年連続出場。昨年初の予選突破を果たし、イーブンパー44位タイ。165センチ、67キロ。

◆里崎智也(さとざき・ともや) 1976年(昭51)5月20日、徳島県生まれ。鳴門工(現鳴門渦潮)-帝京大を経て、98年ロッテを逆指名しドラフト2位で入団。06年第1回WBCで優勝した王ジャパンの正捕手として活躍。08年北京五輪出場。06、07年ベストナインとゴールデングラブ賞。オールスター出場7度。実働15年で通算1089試合、3476打数890安打、108本塁打、458打点。14年に引退。ゴルフのスコアはアベレージ「85」。175センチ、94キロ。


◆取材・構成=川田和博

◆撮影=山崎安昭

◆協力=飯能グリーンCC(埼玉)