ゴルフレッスン面恒例の対戦企画は、元広島のプロ野球選手で2021年全日本ミッドアマ8位の実力者、前田智徳氏(51)が、大里桃子プロ(24=伊藤園)にハンディなしのガチンコマッチプレーで挑み、前田氏1アップでプロ撃破に終わった。対戦前、ドライバーショットを課題に挙げていた前田氏は、ウオームアップ時に大里プロからアドバイスをもらった。前田氏はどんな悩みを抱え、どんなアドバイスをもらったのかを紹介する。(以下、敬称略)

目印に置いたボールに向けてクラブを振り抜く
目印に置いたボールに向けてクラブを振り抜く

前田はドライバーでのティーショットを悩みの1つに挙げた。

前田 いろいろあるけど、アマチュアゴルファーの場合、ここでつまずくと取り返しがつきません。昨年の全日本ミッドアマの私のように、惨敗して帰る羽目になります。

大里 私も正直言うと、得意じゃないんですけど…(笑い)。でも、前田さんはゴルフがうまいので、ショットというよりも攻め方をちょっと考えるだけで、自信をもって振っていけるのではという気がします。

新井 持ち球はドロー、フェードのどちらですか?

前田 ん~、傾向として右に打ち出すと返ってこないですね。

新井 ということは、ドロー系ですか?

前田 そういうつもりで打っていますが、右に行ったまま竹やぶに入っちゃう。これがOBなら打ち直せるけど、セーフだと大惨事。特に難易度が高いホールになると力が入ってしまい、自分ではつかまえにいっているつもりが、右に行って返ってこないことが多いです。

新井 プッシュアウト傾向があるということですかね。では大里プロに見てもらいましょう。

まずは前田のスイングや弾道を確認するため何球か打ってもらった。

前田 緊張するな~。472ヤード打ち下ろしのティーショットという設定で打ってみます。

1球目はフック、2球目はほぼストレートだが、自らは「置きに行ってますね」というショットだった。

大里 左に巻き込んだのは、多分右に打ち出すのが嫌で右手が悪さをしてしまったのが原因だと思います。やっぱり「右に行きたくない」というイメージが染み付いているので、それを嫌がると左に行くし、体が動かなくなると右に行ってしまっているような気がします。

さらに数球を打ったが、スタッフ陣の目には、飛距離も十分なナイスショットの連続に見えた。

大里 スイング的には問題ないと思いますが、出球管理の練習をするといいかもしれません。打ち出したい方向に目印のボールを置いて、そこに向かってクラブを振り抜いていく練習です。

前田智徳氏のティーショット連続写真
前田智徳氏のティーショット連続写真

これを数球打っただけでナイスショットを連発。元プロ野球選手の対応力の高さをうかがわせた。

大里 あとはティーイングエリアでの立ち位置にメリハリをつけるといいような気がします。右が嫌なときは(ティーイングエリアの)右に立って、左サイドを狙うことで左が広く見えます。

前田 そこが苦手で、積み重ねてやっているけど、体がいい動きをしてくれないんです。

大里 私の場合、右が嫌ならとことんドローを打ってやろうと思って打ちます。中途半端が一番ダメ。最初から右を向いて、左にはどれだけ曲がってもOKくらいの気持ちで打っています。それで、逆球が出たら自分のミスと受け止められるので、次をどうするかに切り替えます。プロでも逆球は出ますから。

アマチュアゴルファーの場合、自分のミスに対して厳し過ぎることもある。

大里 プロでも完璧なショットは試合で1~2球打てればいい方です。もちろん、理想の弾道を思い描くことは大切ですが、許容範囲であれば「大成功」くらいでいかないと、精神的に疲れてしまいます。あとは、リズムが速くなってのミスもあるので、テンポだけ注意してもらえばいいと思います。私も注意している点ですが、素振りやアドレスに入るテンポが、悪いときほど速くなるので、一定になるように心掛けると、落ち着いた弾道が出やすいと思います。

前田 素振りから? それは初めて聞きました。切り替えていこうという気持ちが、テンポが速くなることにつながっているのかもしれませんね。

大里 早打ちはミスの大きな原因ですから! 1度試してみてください。

前田智徳氏(左)と大里桃子プロ
前田智徳氏(左)と大里桃子プロ

◆取材・構成 川田和博

◆撮影 垰建太

◆協力 グレートアイランド倶楽部(千葉)