「ゴルフ流 Education」の第2弾は、18年まで松山英樹プロのエースキャディーを務めた進藤大典(だいすけ)氏(40)の登場です。現在はテレビ解説に加え、ジュニア・クリニックなどにも携わり、私生活では2児(中2、小3)の父という“現役子育て世代”。今回は自らの経験を踏まえて、デジタル機器への依存について警鐘を鳴らします。

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今やすっかり生活に浸透したカーナビやスマホの地図機能、本当に便利ですよね。でも、あえて「それに頼りすぎるな」と言いたいです。何でも機械で調べ、その指示通りに動くという習慣はちょっと怖い。自分で覚える、考える力を衰えさせる懸念を感じます。大人も子どももです。

僕自身、地図機能に従って歩いていて、通信状態が悪くなるなど不都合が起きたとたん、文字通り“路頭に迷う”状態、まったく機転が利かなかった経験がある。「これはまずい」と反省しました。以前は良くも悪くも記憶を使って行動していたのに、今は機械に頼りきっているな、と…。

便利な機能を否定するわけではなく、頼りすぎてしまうと、自分の進化を遅らせてしまうかもしれない。スマホはアップデートされているけど、自分はアップデートされていない状態かもしれない。そんな警戒感も必要だと思います。

キャディーはコース状態など、自分の目でチェックします。与えられる情報もありますが、自分で確認した情報の方が自信を持って言えるし、明らかにプロに伝わりやすい。それは他の職業でも、似ているのではないでしょうか。

スマホやPCが何でも記憶してくれることで、人間の記憶力が衰えていくかもしれません。1度行った場所でも、クラウドで保存された画像を見ないと思い出せない、なんてことも…。もし、過去の家族旅行のことが、自分の子どもの頭に“保存”されていないなんてことになったら、寂しいですよね。振り返ることの大切さも知ってもらえると、うれしいです。

例えば、初めての場所ならナビ通りに進んでも、曲がり角の風景や建物を意識してみる。2度目なら最初は記憶をたどってみる。そんなことを大人とジュニアが一緒に、楽しみながらできたらいいと感じます。(進藤大典)

◆進藤大典(しんどう・だいすけ)1980年(昭55)生まれ、京都府出身。中3でゴルフを始め、明徳義塾高(高知)-東北福祉大。同大で同期だった宮里優作に誘われてキャディーを始め、03年プロキャディーに。宮里や谷原秀人、片山晋呉らのバッグを担ぐ。13年から18年まで松山英樹と専属契約、13年日本ツアー賞金王、その後の米ツアー5勝に貢献した。現在は解説やイベントの事業が中心。4月に「ゴルフキャディ 世界で闘うために…」(主婦の友社)出版。