プロ転向2年目の日系米国人コリン・モリカワ(23)が、メジャー初優勝を飾った。首位と2打差4位から出て、この日のベストスコア64で通算13アンダー、267。一時は首位に7人が並ぶ大混戦の中、16番パー4のイーグルで抜け出し、鮮やかな逆転劇を演じた。プロ転向後の連続予選通過記録22戦がウッズの25戦に次ぐ2位というイケメン新星が、無観客大会に華やかさをもたらした。メジャー初制覇を狙った松山英樹(28)は22位に終わった。

無観客のもの悲しさを、モリカワが吹き飛ばした。フォトセッション。リクエストに応え、優勝トロフィーを両手で高々と掲げようとして、勢いがついた。フタがずれて、落っこちた。焦って、おどけて、爽やかに笑うと、周囲も大笑いに包まれた。

「母が中国人で、父が日本人」(本人談)の日系人。日本語は話せないものの、見た目は日本人で、175センチ、73キロと平均的な日本人体形だ。そんなプロ転向2年目の23歳が、世界の飛ばし屋D・ジョンソン、マッチョのデシャンボーら、一時は7人が首位に並んだ大混戦から抜け出した。「ターニングポイント」という14番で15ヤードのチップショットを放り込み、通算11アンダー。圧巻は16番パー4だった。

「アゲンストになるから、開幕前は1オンを狙うつもりはなかった。だけど今日はエッジまで278ヤード。キャディーが“この天気ならグリーン前に落ちてちょうどいい”って言うし、ドライバーで攻めると決めたんだ」

ティーグラウンドが前に出され、表示は294ヤード。打球はグリーン手前エッジにキャリー、前方に跳ね、ラインに乗った。ピン手前2メートル。イーグルで優勝を引き寄せた。

米ツアーでは平均飛距離295ヤードで107位も、フェアウエーキープ率は25位。パーオン率も70・2%で21位と、正確なショットとパットで、メジャーを初制覇した。「メジャーに勝つことをずっと夢に見ていたけど、プロになってまだ1年しかたっていないのに、こんな場所にいるなんて」。サンフランシスコは4年間、大学に通った第2のホームタウン。「ここで勝てたことは本当に特別」と自然と声は弾んだ。

イケメン“ご当地プロ”はホールアウト後に彼女のキャサリン・スーさんと寄り添い、スマホの“祝電”をチェックした。

「日本が大好き。ガールフレンドも日本が大好き。特に日本食が世界一の食べ物だと思っている。おっと、おなかがすいてきた。食べることが大好きなんだ。夕べはうどんを食べた。(現地メディアに)うどんは日本のヌードルだよ」

昨年6月、プロデビュー戦のカナディアンオープン終了時に1039位だった世界ランクは、1年2カ月で5位へ。日系の23歳は、ショットもコメントもキレまくっている。