渋野日向子(22=サントリー)は今年、プロゴルファー人生を通じて「5大メジャー制覇」を目指すという、大目標を掲げた。だが連覇を目指した全英女子オープンは予選落ち。ANAインスピレーション、全米女子プロ選手権は50位台だった。エビアン選手権は中止で、今年のメジャーも残すところ、全米女子オープンのみ。それでも「1度掲げた目標は必ず達成したい」。10日開幕の同オープンは日本人が18人も出場するが、上位進出を最も期待させる、強い信念がある。
昨年は日本人42年ぶりのメジャー制覇に加え、国内ツアーでも4勝した。さらなる飛躍が期待された今年は国内、米国の両ツアーに各6試合出場して未勝利。優勝争いに加わったのは、今季最高の3位となった国内最終戦だけだった。その間に、心は揺れ動いた。
◆6月26日、国内開幕戦で予選落ちに「このオフにやってきたことが、全て意味なかったんじゃないかと思うような内容でした」。
◆8月21日、全英女子オープン予選落ちに「足りないところを全部見つけた気がする。いつまでも『経験』と言っていられない」。
◆9月13日、ANAインスピレーション51位に終わり「本当に情けない。安定感がない。爆発力もない。飛距離もスピン量も。本当に足りないものばかり」。
◆10月11日、全米女子プロ選手権58位。メジャー女王の肩書を「もうその名前は捨てていいと思う」。
◆10月31日、国内復帰戦で予選落ちに「何回この悔しい思いを経験したらいいんだろう。去年がうまくいきすぎた」。
随所で代名詞の笑顔を見せていたが、国内復帰戦が精神的にどん底だったという。オフのフォーム改造、筋力強化が良くなかったとの声が、解説者やゴルフファンから上がった。メジャーを制したことで、身の丈に合わないスタイルを目指しているのではと、迷いもあった。一方で、メジャーを制したことで、迷わずに進めたこともあった。
「今、自分が何のためにゴルフしているのかと考えると、自分のためじゃなくて人のため。自分がいろんなことを達成することによって、どんな影響を与えるのか、どういう世界になるのか。それを考えると、すごく、やってみたい」
渋野の最大の才能は、より多くの人に夢と力を与えることなのかもしれない。3位となった国内最終戦で「昨年の自分に“戻る”のではなく“これから作り上げていく”と考えるようになった」と明かした。今年は昨年よりも「価値のある1年だった」と、苦しんだことに意味を感じた。大きく跳ぶためには、1度沈み込む必要がある。必要な1年だと信じている。【高田文太】

