賞金ランキング首位の小祝さくら(23=ニトリ)が東京五輪銀メダリストの稲見萌寧との4打差を逆転し、2週連続優勝を果たした。5位から出て強風と雨の中4バーディー、3ボギーの71で回り通算7アンダーの209で、今季5勝目を手にした。初日から首位だった稲見は2バーディー、7ボギーの77と崩れた。稲見、高橋彩華、三ケ島かなが2打差の2位だった。

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小祝は、あえてリーダーボードを見ないで、バーディーパットに集中した。最終18番パー5。約1・5メートルのパットを決め7アンダーとした直後、見上げたボードで自分が首位にいることを確認した。「萌寧ちゃん(稲見)は8アンダーだと思っていて、まさか6アンダーになっていると思ってなくて。優勝できるとは思っていなかったので、すごくうれしい」と逆転Vに笑顔が弾けた。

前週のNEC軽井沢72に続く2週連続優勝は、これまでの練習が実を結んだ。最大15・4メートルの強風が吹き荒れた最終日。稲見を始め、多くの選手がスコアを崩す中、4バーディー、3ボギー。雨や荒天を想定してスリークオーター(4分の3程度の力のスイング)で技術を身に付けたことが、大逆転劇につながった。「普通にフルショットしたら、上体が浮き、真っすぐとばないので、しっかり強い球を打つ練習をしてきた」という。

通算6勝目は実力者ぞろいの黄金世代の中で、最多の畑岡奈紗に並んだ。これまで9人が優勝し、初優勝は8番目と遅咲きも、19年から3年でトップに追いついた。「辻村明志コーチに出会わなければ、ここまでになれなかった」という。辻村コーチの「地面からのパワーを感じて打ちなさい」というアドバイスも、最初は意味が分からなかった。練習を重ねるうちに「地面から、つながるように上体を使う」感覚を身に付けた。

副賞も狙っていた。日本キャタピラーの「ミニ油圧ショベル」(約500万円)で「(北海道北広島市の)うちの前の雪かきに使いたいと思っていたんです。雪の日に乗ってコンビニに買い物にいきたい」。免許は持っていない上、冗談とも本気ともつかない“夢”を披露して爆笑を買った。

今年最大の目標、賞金女王争い最大のライバルである稲見との差を広げた。次週は地元北海道で、ホステスプロも務めるニトリ・レディース。3週連続優勝もかかる。「去年(2位)のリベンジもしたい。ショットの調子がいいので、自信を持ってプレーしたい」と、珍しく強気の言葉も飛び出した。【桝田朗】

◇小祝さくらの優勝クラブ

▼1W=ダンロップ スリクソンZX5(シャフト=グラファイトデザイン ツアーAD PT5、ロフト角9・5度、硬さS、長さ45インチ)▼FW=同スリクソンZX(3W15度、5W18度)▼ユーティリティー=同スリクソンZH85(4U22度)▼アイアン=5I~9I、PW=同スリクソンZ585▼ウエッジ=クリーブランドRTX3(47、51、58度)▼パター=ワールド山内 ワールドクラフトデザイン ツアーオンリープロトタイプ ツアー オンリー▼ボール=ダンロップ スリクソンZスターXV

<8度目の最終日最終組も5アンダーで2位に終わった高橋彩華>疲れました。組の流れが苦しかったかなって感じですね。ドンドコドンドコ、ボギーが止まらない感じでしたね。