西郷真央(20=島津製作所)が16番パー5での劇的なイーグルで大混戦を制し、今季5勝目を挙げた。

1イーグル、2バーディー、1ボギーの69で回り通算13アンダーの275。出場10戦での5勝は史上最速、20歳226日での通算5勝は史上2番目の若さで、今季獲得賞金は9936万円で、早くも1億円に迫った。3月の開幕戦での待望のツアー初Vから、わずか3カ月弱の間に勝利を積み重ね、今回も記録ずくめの優勝。2打差の2位に稲見萌寧、3打差3位に山下美夢有、青木瀬令奈が入った。

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西郷は最終18番パー5で3・5メートルを沈めてバーディー締め。地元・千葉でギャラリーの大歓声に、この日一番の笑顔を見せた。終盤、稲見、青木、山下と10アンダーで並ぶ大混戦となった。16番パー5。第3打は左手前のバンカーからのショット。「思ったところに打てれば、やさしいシチュエーション」。自信を持って打った球は、直接カップに吸い込まれた。笑顔でガッツポーズ。チップインイーグルで一気に混戦を抜け出した。

前半は苦しい展開が続いた。4番パー4でボギーが先行した。「バーディーが来るまで耐えて耐えて、つらい時間でした」。支えは「悪いなりにまとめろ」の言葉。苦しい中で師匠・尾崎将司の教えをしっかり守った。11番パー4。第2打は右バンカーにつかまったが、約7メートルのパーパットをねじ込んだ。これで「自分の流れが来てくれた」。13番パー4での初バーディーから加速した。

ここ2戦は予選落ち。自分を見つめ直す機会になった。ジャンボ邸を訪ね、師匠に助けを求めた。「(もし)2試合ギリギリで予選を通っていたら、ジャンボさん宅に足を運んで教えてもらう機会もなかった」。スマホに何年も撮りためてきたスイング動画と、書き留めたポイントのメモも、何度も何度もチェック。入浴中にも見て修正した。

次戦は海外ツアー初挑戦となる米メジャー、全米女子オープン(6月2日開幕)となる。「結果的には、いいステップを踏むことができて良かった」。強過ぎる西郷が、念願の舞台に挑む。【近藤由美子】

◆西郷真央(さいごう・まお)2001年(平13)10月8日、千葉県生まれ。ゴルフは5歳から。千葉・麗沢高3年の19年に日本女子アマ優勝。同年11月プロテストに18位合格し“高校生プロ”に。ルーキーだった20-21年シーズンは賞金約1億7900万円を獲得。0勝選手では最高の賞金ランキング4位となった。日本ウェルネススポーツ大在学中。笹生優花、山下美夢有と同じ新世紀世代で、師匠のジャンボ尾崎からは「西郷(せご)どん」と呼ばれる。158センチ、57キロ。

<88年ツアー制後の通算5勝>

▼年少2位 西郷は「20歳226日」で、宮里藍の「19歳127日」に次ぐ年少到達。3位は畑岡奈紗の「20歳245日」。

▼試合数は日本人8位 西郷はアマチュア出場を含め70戦で到達。日本勢最速は畑岡の22戦で以下(2)宮里50戦(3)渋野日向子53戦(4)稲見萌寧59戦(5)天沼知恵子、古江彩佳62戦(7)上田桃子67戦。西郷は8番目。

 

◆年間最速1億円に王手 西郷は今季出場10戦目で獲得賞金9936万円に。年間最速1億円突破は18年鈴木愛の11戦。西郷は残り64万円のため次戦で決め、鈴木と並ぶ可能性が高い。

有村智恵、稲見萌寧、西郷真央ら/女子プロ最終日写真特集2