米ツアー挑戦1年目の山下美夢有(みゆう、24=花王)が、念願の初勝利をメジャー大会で飾った。日本女子史上6人目(7度目)となるメジャー制覇。全英女子オープンでは19年の渋野日向子以来、頂点に立った。歴代5人に比べても最も小柄な150センチの“リトルシンデレラ”が、正確なショットを武器に通算11アンダーで2日目からトップを守り抜いた。優勝賞金は大会史上最多の約2億1200万円を手にした。
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山下は「美夢有」の名前通り、美しい夢をメジャー舞台で現実にした。1打差の首位で出た最終日は3バーディー、1ボギーの70。ハル(英国)らに猛追されながら、最後は数十センチのウイニングパットを沈めて泣いた。
「歴史のある大会で、ここに立つことができてとてもうれしい。家族のみんなには一番、近くで支えてきてもらいました」
大阪から渡英した父でコーチの勝臣(まさおみ)さんら家族と抱き合うと、また涙が止まらなかった。
6年前に小気味いいゴルフと陽気な性格で全英を制した渋野が“スマイルシンデレラ”なら、150センチの山下は“リトルシンデレラ”。飛距離は200ヤード台前半でツアー全体では145位、ツアー参戦の日本勢13人の中では12番目。
「飛距離は出ないが全英はリンクスコースで、そこまで飛距離は求められないと思っていた。それが安定したゴルフができて、優勝につながってくれた」
海沿い特有の強風でスコアを崩す有力選手がいたが、山下は正確なショットで深いラフを回避。フェアウエーキープ率は4日間で約70%。弱風だった2日目は驚異の93%で7つもスコアを伸ばした。
欧米人はもちろん、167センチの渋野ら過去5人の日本勢メジャー王者と比べても、山下は最も小柄。それでもアプローチやパッティングなど小技でも補い、パワーが優先されがちな米ツアーに風穴をあけた。
スコア74とやや崩れた前日は、深夜まで父と話し合った。5歳から師匠になった父には、常に好ショットから好パットへのリズムの重要性を説かれた。初心に戻った最終日だった。
「重圧もあったが(事前に)決めたことを淡々とすると決めていた。それで長いパーパットが入ってくれて、15、16番も(パーで)耐えられた」
優勝賞金約2億1200万円は、自身が22、23年に日本で年間女王になったシーズン1年分に相当。小さな体でアメリカンドリームまで体現した24歳は、大会公式サイトで「(言動は)控えめだが卓越したゴルフ力」と最高の賛辞を送られた。8日開幕の北海道meijiカップに凱旋(がいせん)出場する。
◆米女子メジャー大会 米女子プロ協会(LPGA)はシェブロン、全米女子オープン、全米女子プロ、エビアンの各選手権と、全英女子オープンの5大会を他大会より格上と認定。46年に始まった全米女子オープンが最古で、55年創設の全米女子プロでは77年に樋口久子が日本勢メジャー初優勝。渋野日向子が19年に制した全英は01年からメジャーに昇格。総数は変化しており83年から4大会、13年からエビアンが加わり5大会に。男子は4大会。

