<男子ゴルフ:マイナビABC選手権>◇最終日◇2日◇兵庫・ABCGC(7130ヤード、パー71)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 12アンダー首位から出た小田龍一(37=Misumi)が、1イーグル、7バーディーの大会コースレコードタイの62で回り、通算21アンダーで、09年の日本オープンでツアー初優勝して以来のツアー2勝目を飾った。

 15番パー5で8メートルに2オンしたイーグルパットを沈めると、ガッツポーズ。淡々と黙々とラウンドしていた小田龍の初めてのオーバーアクションだった。それでも追う谷原がイーグルで返ししてきて2打差をキープされると、小田龍はさらにギアを上げた。16番パー3でバーディー、18番パー5も「おまけのバーディー」で締めくくった。

 9歳年下の「勇太先生」にグリーンサイドで迎えられると思わず涙が出た。09年に日本オープンで勝ち、その後も獲得賞金によるシード権は守ってきたが、昨年は体調不良でショットもばらばらになり、408万円しか稼げなかった。そのため、今季は日本オープン勝利の特別5年シードの最終年として参戦。ここまで1000万円も稼げていない崖っぷち男が、ここに来て「ワッゼ(鹿児島の方言でものすごく)うれしい」優勝をもぎとった。

 ツアー秋の陣から「勇太先生」にショットやクラブについてアドバイスをもらい、調子は上がってきていた。「力まずに、突っ込まないように」というサラリとした打ち方がようやくできるようになってきた。それが、今大会でしっかり実践できるようになり、栄冠に結びついた。今季の獲得賞金も約3980万円になり、ランク17位にアップ。獲得賞金によるシード権を確定させ、さらに来季から2年間のシード権も得た。

 ずっと一緒にツアーを転戦する妻優子さん(37)は「とくに昨年はつらかった。でもこの優勝で全て忘れました」と目を真っ赤にしながら笑った。2人は次の試合地の茨城県に妻の運転する車で向かっていった。