柔道のロンドン五輪金メダリストで世界選手権6連覇中のテディ・リネール(26=フランス)が10日、インタビューに応じた。

 1日から11日まで日本で合宿を行っており、この日は都内の国士舘大で稽古を行った。再建を目指す日本も含めた重量級の現状から、将来の夢、憧れのスポーツ選手まで。16年リオデジャネイロ五輪だけでなく、20年東京五輪でも注目を集めるだろう柔道界の絶対王者に迫った。

-今回の来日の目的は

 フランスでは超級の練習相手がいない。日本には良い練習相手がたくさんいる。新たな技術習得のためで、新しい感覚を見つけることができているよ。

-日本の重量級の現状をどう見ているか。

 井上(康生)監督になって、新しいコンセプトでやっていると思う。井上さんは尊敬している。

-昨年の世界選手権の決勝では七戸龍と接戦し、5月のマスターズ大会では一本勝ちした。どう見ているか。

 今回も(一緒に)練習はした。次の試合は投げられるかといえば、そうじゃない。試合は毎回違う。甘くない。また違う展開を考えている。

-ずっと王者で居続けている。今後の目標は。

 柔道界のシンボルだけでなく、世界のスポーツのシンボルになりたい。何連覇もできるチャンスを持っているのは自分だけ。チャレンジし続けたいね。

-他のスポーツも含めて、あこがれの選手は。

 (サッカー元ブラジル代表の)ロナウジーニョだね。メディアの前でもいつも笑顔だろ。昨日も朝4時までYouTubeで動画を見ちゃったよ。

-記憶に残る敗戦は

 2010年の世界選手権(無差別級決勝)だね。上川に自分のミスで負けた。まあ、審判で負けたと思っているけど。でもそれをちゃんと受け入れないといけないと学べたよ。日本でやる時は一本を取って勝たないと。

-米国総合格闘技のUFCからオファーはあったと聞いたが

 毎年あるよ。10億円とか、高額なお金を提示してくる。でも他のスポーツはやったことないしね。

-20年東京五輪の出場は考えているか。

 もちろん視野に入れている。とはいえ、まずは16年リオデジャネイロ五輪で勝つことだね。常に勝つことで可能性は広がる。

 ◆テディ・リネール 1989年4月7日、フランスの海外県グアドループ生まれ。5歳の時に柔道を始める。14歳でフランスの強化指定選手に選ばれると、07年の世界選手権で18歳5カ月の最年少優勝を飾る。08年北京五輪で銅メダルに終わった悔しさを糧に、以降は絶対王者としての地位を築く。世界選手権は07年から6連覇中、12年ロンドン五輪も圧勝で金メダリストになった。204センチ、141キロ