男子81キロ級で世界王者の永瀬貴規(22=筑波大)が、思わぬ反則負けを喫した。

 準決勝の李スンス(韓国)戦で、大内刈りから内股への連絡技を仕掛けたところ、相手にまたがれてもつれた。永瀬は左手で上着の下裾を握ったままで、相手の股付近に左手をあてがう形になり、そのまま押し込んで投げようとした状況が、脚取りの反則を取られた。場内が騒然となる中、永瀬も信じられないといった様子で両ひざに手を置いてうなだれた。

 道着を握ったままならば反則ではないため、スタンドから試合を見守っていた井上康生・男子日本代表監督も審判団のもとへ。国際柔道連盟(IJF)のバルコス審判主任理事の見解は、「ビデオで検証しても難しい場面だったが、反則と判断した。(判定について)全てが完璧ということはあり得ない」。同監督は「2度とあってはならない。IJFに対して意見を述べる」と明言した。

 納得できない敗戦となった永瀬は、その後の3位決定戦では気持ちを切り替えて勝利した。「これが五輪じゃなくて良かった」と前向きにとらえようとしたが、物議を醸す結果となった。