9歳下の後輩が勝った。今年の全日本ジュニア体重別選手権の覇者、立川新(18=東海大)が12年ロンドン五輪銀メダリストの中矢力(27=ALSOK)を下し、“先輩後輩対決”を制した。

 残り2分10秒。「前に出る柔道」を心掛ける立川が背負い投げで有効を奪い、優勢勝ちした。「憧れの先輩に勝てて、とてもうれしい。(中矢が得意とする)寝技に警戒しながら、組み手を意識していた。大学の練習の質が高いため強くなっていると思う」。自身の成長に自信をのぞかせた。

 2人は新田高(愛媛)から東海大へ進学。中矢は卒業後も東海大で稽古を積んでいる。大学では組まないという2人だが「練習を見ていたため、対応できた」と立川は言う。

 東海大の稽古には、リオデジャネイロ五輪男子90キロ級で金メダルを獲得したベイカー茉秋(22)や、卒業生で同60キロ級銅メダルの高藤直寿(23)、同100キロ級銅メダルの羽賀龍之介(25)らのメダリストがおり、立川は常に組み手などを目で学んでいる。

 現在の73キロ級は、リオ五輪で圧倒的な力で金メダルを獲得した大野将平(24)の牙城を崩せるかがポイントとなる。立川は尊敬する人として、大野の名前を挙げたが「誰にもできない柔道をして、いつかは勝ちたい」と闘志を燃やしている。

 今大会は、来夏の世界選手権代表第1次選考会で、上位には12月に行われるグランドスラム東京の出場権が得られる。リオ五輪に出場した男女代表14人は今大会の出場が免除されている。男子日本代表の井上康生監督は「20年東京五輪に向けて、リオ大会のメンバーも期待しているが、それ以外の活躍も期待している。フレッシュな顔ぶれもみたい」と話した。

 この日は男女7階級が行われた。女子78キロ超級の朝比奈沙羅(20)が女子初の4連覇を達成し、男子66キロ級では期待された阿部一二三(19)が準々決勝と敗者復活戦で敗れた。