金星発進で「死のゾーン」第1関門を突破した。男子の上越総合技術(新潟)が、インターハイ4強の星城(愛知)とフルセットの末、2-1で逆転勝ちした。大会NO・1の最高到達点350センチを誇るエース新井雄大(3年)が左右、前後から多彩な攻撃を披露し、スパイクで30ポイント稼ぐ大活躍。同じく「Team CORE」に選ばれるライバルの都築仁(3年)に打ち勝った。

 上越総合技術の「ウイニングショット」は、新井の強烈なバックアタックだった。ライトから強烈な一打は、レシーバーの腕を大きくはじいてコート外に消えた。「息切れはしたけど、気力で打った」。1-1で迎えた第3セット。11-16と5点差をつけられてから、エースが本領を発揮した。右左、アタックラインの後ろからと、縦横無尽にスパイクを放ち、ポイントを稼いだ。17点目から4連続ポイントで20-18。「ボールを集めてくれるので、決めれば何とかなる」と頼もしかった。

 新井は、日本協会が東京五輪に向けて集中的に強化する「Team CORE」13選手の中の1人。初戦の組み合わせが星城に決まった後、もう1人の高校生メンバーの都築と連絡を取った。「大したことは話していない」と内容は明かさなかったが、誰より燃えたのは事実。「相手が高い(194センチ、新井は188センチ)とモチベーションは上がる」。スパイクだけで30ポイントを奪い、ライバルも撃破した。

 千葉賢一監督(37)は「新井が打ちまくるしか、勝機はない」と試合前に話していた。東北(宮城)、東海大でエースとして鳴らした指揮官が“化け物”と評する大器が、その言葉通りの展開に持ち込み、勝利をもたらした。新井は「春高の独特な雰囲気を楽しめた」と、12、13年に連覇した強豪校にも気後れは一切しなかった。

 金星の余韻に浸る間もない。今日5日の2回戦で待ち受けるのは、インターハイ、国体に続く全国3冠を狙う地元の駿台学園(東京)。「第1シード」相手にハードルはさらに上がるが、新井は平静を保った。「負けたら終わり。悔いなく終われるように、駿台戦に勝つ」。激闘を物語るように、顔から噴き出す汗は止まらなかった。【涌井幹雄】