バレーボール女子V・チャレンジリーグ1の仙台ベルフィーユ(宮城)の葛和伸元(のぶちか)監督(62)が15日、宮城・大和町での練習前にチームの存続を強く訴えた。経営が悪化した運営会社「トゥエルヴ」が12日、日本バレーボール機構(Vリーグ機構)からリーグ退会に当たる退社の勧告の決定を受け、14日に事業を停止。存続危機の中、この日は通常通りに練習を行った。

 ここでバレーボールがやりたい。チーム存続危機に監督、選手たちが声を上げた。元女子日本代表監督でもある葛和監督は「(チーム運営会社が業務停止の)勧告を受けましたけど、それに関しては特にない」と言い、「このチームをなくしてはいけない」と語気を強めた。

 運営会社の経営悪化が表面化し、リーグへの参加資格が消滅しかねない事態に陥っている。前女子日本代表監督の真鍋政義氏(53)がゼネラルマネジャーを務める「ヴィクトリーナ姫路」への吸収合併の話も持ち上がった。しかし、ケガなどでやめた選手をのぞく13人全員が合併を拒否。チーム創設の11年から所属する、マネジャー兼任の雨堤みなみ(28)は「全員でぶつかりあって話し合った。好きです仙台。今は仙台でみんなやりたいと思っている」と、存続を切に願った。

 Vリーグでは珍しい地域密着型のクラブ。行政の協力を得て、練習施設などを借りる。活動継続に向け、チーム保有団体のNPO法人「仙台ベルフィーユ」は、経営改善計画の資料を週明けにも追加提出する。チーム関係者によれば、スポンサー増が見込めるという。リーグ参加資格を認められれば、NPO法人だけで運営していくとみられるが、葛和監督は「新しい運営会社を立ち上げる可能性もある。まだ分かりませんが」と話した。

 リーグ参加資格は7月上旬にも判明する見通し。Vリーグ機構の決定を待つしかないが、葛和監督は「こういう状態でも練習はしていく」と、この日も怒声を響かせながら指導した。同2日から国体宮城県予選、同7日からはV・サマーリーグを控え、選手たちもボールを追い続けている。14年4月に監督就任後、3年が過ぎた葛和監督は「まだ仙台でやりたい」と、心の底から訴えていた。

 ◆仙台ベルフィーユ 05年香川・高松市で発足した「四国Eighty 8 Queen」の活動停止を引き継ぎ、宮城県初のVリーグチームとして、11年に仙台市に誕生した地域密着型のクラブ。14年4月に葛和伸元監督が就任。ベルフィーユは英語のBell(鈴)と、フランス語のBelle fille(美しい乙女)の造語。