「ママでも五輪」-。リオデジャネイロ五輪卓球女子団体で銅メダルを獲得した福原愛(28=ANA)が29日、自身のブログで妊娠を発表した。第1子は秋にも誕生する。昨年9月に同五輪の卓球台湾代表江宏傑(こう・こうけつ=28)と結婚。結婚発表会見では現役続行を明言していた。東京五輪代表は慣例なら19年秋の世界ランキングで決定する。日程的には五輪への挑戦は可能になった。

 文面から新しい命を授かった喜びがあふれた。福原は29日午後4時1分にブログを更新。妊娠を公表した。

 「私事ですが、赤ちゃんを授かりました。体調が安定しない日が多く、中々皆さまにお伝えすることができなかったのですが、出産は秋を予定しています。小さな命が私たちのもとに来てくれたことをとても嬉しく思います。夫はきっといいパパになってくれると思うので、私も負けないくらいいいママになれるよう、赤ちゃんに会えるまでの間しっかり勉強して準備したいと思います!これからもよろしくお願い致します!」(原文まま)

 昨年9月、リオ五輪台湾代表の江と結婚。台湾紙のインタビューに「まずは家庭のことをうまくやってから卓球のことを考えたい」と答えた。言葉通り、新居のある台湾、練習拠点だったドイツ、日本などを行き来しながら夫をサポートしてきた。江は5月から日本リーグの琉球アスティーダに加入。2部から1部昇格の原動力になったが、それも福原の支えがあったからこそだった。

 2人のDNAを引き継ぎ、スーパープレーヤーになる可能性も秘める、待望の第1子は福原の誕生日でもある11月1日ごろに生まれる予定。昨年9月の結婚会見では「『福原さんは結婚しても卓球をしている』と、後輩たちにまた新しい道を切り開ければ」と、結婚後の現役続行を明言していた。今秋の出産後、環境が整えば、来年中の実戦復帰は十分可能。そうなれば、東京五輪への挑戦が視野に入ってくる。

 昨年リオ五輪と同じ選考方法なら19年秋までの世界ランキングで東京五輪代表が決まる。女子シングルスは上位2人。リオのチームメートの石川佳純(24)伊藤美誠(16)はもちろん、世界選手権女子シングルス銅の平野美宇(17)同ダブルス銅の早田ひな(16)ら群雄割拠の状況で、厳しい戦いが待ち受ける。

 東京五輪代表のハードルは高いが、日本協会の宮崎義仁強化本部長(58)は「挑戦するなら支援したい。代表になるならないは別にして、後輩たちに五輪を目指す姿勢を見せるのではないか」とエールを送る。五輪以外にも来秋発足予定の新リーグ「Tリーグ」に出れば、広告塔としての役割も期待される。幼少期から卓球界を盛り上げ、引っ張ってきた愛ちゃん。今後はママさん選手のパイオニアとしての役目も待っていそうだ。

 ◆最近の主な五輪出場選手の妊娠&出産 直近では競泳シドニー銅メダルの田中雅美が5月に再婚と妊娠を発表。15年に男の子を出産したバドミントンの潮田玲子は、4月に第2子の妊娠を発表した。今秋の出産を予定している。柔道ロンドン金、リオ銅メダルの松本薫は1月に妊娠を発表し、今夏出産予定。サッカーでロンドン銀の澤穂希は1月に女の子を出産。バレーでロンドン銅の竹下佳江は15年に男の子を産んでいる。