フェンシング団体で日本が男女で金メダルを獲得した。女子サーブル(福島、江村、高嶋、向江)は決勝でハンガリーを破り、男子フルーレ(敷根、西藤、松山、野口)はロシアを下した。これまで日本は五輪でメダルを獲得しているフルーレを得意としてきたが、2020年東京五輪へ向けて強化してきたサーブルでも、女子は十分に世界と戦える実力を証明した。

 決勝は相手を序盤にリードする危なげない勝利だった。準々決勝、準決勝はポイントを先行される苦しい展開で、いずれも高嶋が逆転に成功。「久しぶりに自分なりのプレーができた」とうれし涙を拭った。

 日本フェンシング協会は13年、12年ロンドン五輪で韓国男子サーブル団体を金メダルに導いたリー・ウッチェ・コーチ(52)を、サーブルの統括コーチとして招聘(しょうへい)した。現在は女子を指導。質、量ともに厳しい練習と、選手の長所を的確に見抜いて伸ばす世界トップの指導力で、選手たちは急速に力をつけた。

 今年7月の世界選手権(ドイツ・ライプチヒ)では、日本(青木、田村、福島、江村)は3位決定戦でフランスに敗れ、日本勢初のサーブル種目でのメダル獲得を逃して4位に終わったが、準々決勝でリオデジャネイロ五輪金メダルのロシアを破る大金星を挙げた。また、同大会で福島、江村、田村がそろって個人種目で8強入りし、3人が女子の個人種目としては世界選手権最高成績を収めた。

 15歳からリー・ウッチェ・コーチの指導を受けて成長したエースで18歳の江村は「今日は本当にいいチームワークで助け合いながら優勝しました。簡単な試合ではなかったけど、相手にリードされても最後まであきらめずに強気で戦い続けた」。この日は1月に亡くなった祖父の誕生日で「最高のプレゼントを贈ることができてうれしい」と話した。

 最年長でチームを支えた22歳の福島は「私も日本のチームも、世界でもっと勝っていける」。東京五輪まであと3年。今大会の金メダルを自信に、このまま上昇カーブが続けば、女子サーブルが日本フェンシングの主役になっているかもしれない。