東海大相模高3年の時には同級生で100キロ級代表羽賀龍之介(旭化成)らと全国選手権、金鷲旗、高校総体の3冠を達成した。将来を有望視され、東海大に進学するも肘などのけがや、81キロ級からの階級変更で伸び悩んだ。実業団のパーク24に入り、世界選手権3連覇の海老沼匡から「柔道の心得」を学んだことが転機となった。意識改革して柔道への向き合い方が変わり、研究熱心になった。今大会には袖釣り込み腰から体落としなどに移行する新技、「橋本スペシャル3」を完成させて臨んだ。

 昨夏のリオデジャネイロ五輪では、羽賀の銅メダル獲得を現地で見て「負けていられない」と強く思った。今大会前の2週間前の練習では左足首の靱帯(じんたい)を2本断裂。決勝の延長戦突入前には右手人さし指の爪がはがれた。逆境に追い込まれたが「世界一になって日本に帰ろう」と、2日に登場する羽賀との約束を果たそうと耐えた。

 同じ階級には大野ら強豪が待ち受ける。「もっとやれる。大野に勝って東京五輪に出場し、優勝することを思い描きながら3年間を過ごしたい」。世界王者は出発点。苦労人橋本の本当の闘いはこれからだ。

 ◆橋本壮市(はしもと・そういち)1991年(平3)8月24日、静岡県生まれ。6歳から柔道を始める。神奈川・東海大相模高-東海大。16年グランドスラム(GS)東京を制覇。17年の全日本体重別選手権、GSパリ、GSエカテリンブルクで優勝。世界ランキング1位。得意技は背負い投げ。170センチ。