空手家でタレントの角田信朗(56)が9日、都内のメルパルク TOKYOで行われた、第63回男子日本ボディービル選手権に出場した。出場46人中、16年のファイナリストを除く35人で争われた1次ピックアップ審査に臨んだが、2次ピックアップ審査に進む12人に残ることが出来ず、敗退した。

 角田は「戦車に竹やりで突きにいく世界だろうなと思ってましたけども…たかだか2年でも経験を積んで、ロケットランチャーくらいになっていると思っていたら、やはり竹やりでした。勝負には負けました」と言い、自嘲気味に笑った。

 ただ大会関係者は、男子世界ボディービル選手権代表候補選手選考会を兼ねた国内最高峰の大会・日本選手権の舞台に立つこと自体、生半可の選手では無理だと指摘した。ある関係者は「10代でボディービルを始めたとしても、どれだけ早い選手でも日本選手権の舞台に立つまでには最低、6年はかかるでしょう。一生、出場できない選手もいる」と説明した。

 56歳は、出場46人の中で2人おり最年長タイ。50代は12人いるが、角田以外の選手の多くが30年前後の競技歴を誇り、角田の次にキャリアが少ない選手でも16年の競技歴がある。ボディービル歴3年目も、最短の2年目の選手に次ぐ2位タイ。競技歴1ケタ台は5人しかおらず、角田以外の4選手のうち1人は20代、3人は30代。50代でボディービルを始めた角田の出場が、いかに驚異的なことかは数字も証明している。

 角田自身「こんなに早く出場できるとは思わなかった。あと2年はかかると思った」と語った、今回の日本選手権に向けたテーマは、ポージングだった。解剖学に基づいた正しい姿勢を取ることで、持っている筋肉を大きく見せる技術を、トレーナーをつけて高めて、姿勢を改善した。

 角田 筋肉を肥大することは大前提で、食事コントロールでいかに脂肪を落とすか。僕が認識していなかったポージング、姿勢を研究して改善した。胸郭と肋骨(ろっこつ)の動きを分離させ、肋骨(ろっこつ)を横に広げ、胸郭だけ上に持ち上げれば筋肉の量は同じでも倍くらいに分厚く見せられる。

 それでも、全日本選手権の舞台で並び立った、全国の猛者の壁は高かった。「筋肉を肥大させ、どれだけ仕上げても、みんな、あのサイズ。総合力で勝負していかないと勝てない。ワンパンチで試合をひっくり返せる、格闘技みたいなことはありえない世界。よく、こんな世界に怖いもの知らずで殴り込んできたな」と、かみしめるように口にした。

 初の日本選手権で、つかんだ真理があるという。

 角田 今日、答合わせをして出た結論は、どんな方法をとっても、命をけずらないと、この大会では勝てない。

 今後に向けて「格闘技…勝負の世界で生きてきたので、悔しい。来年は出場権を獲得するために、年齢無差別の大会、どこかを取らないといけない。昨年、準優勝に終わり今年出場できなかった、全日本マスターズとミスター大阪は来年、必ず取る。来年の日本選手権は大阪で開催されるので、地元で活躍したい」と固く誓った。