明成(総体2位=宮城)が、準決勝で帝京長岡(新潟)に65-56と逆転勝ちし、2年ぶり5度目の優勝に王手をかけた。青森・弘前市出身の田中裕也(2年)が、3点シュート6本を含む計22得点の大活躍。得点源の八村阿蓮(3年)が相手外国人の守備に苦しむ中、アウトサイドから打開した。今日29日の決勝では、今夏の総体決勝で1点差で敗れた福岡大大濠と対戦する。

 田中の3点シュートが、逆転への号砲となった。第2クオーター(Q)ラストプレー。25-35と10点差。大きな弧を描いた軌道が、リングにも触れずネットを揺らすと、小さく右拳を握った。「阿蓮さんたち3年生に頼るだけでなく、強気に積極的にいこうと思った。良い場面では決められたと思うけれど、全体的に見ると40点か50点。自分はまだまだできると思っています」。自己採点は厳しかった。

 第3Qには自身のフリースローで、この日初の逆転。相手の3点シュートで再びリードを許した直後にも、3点シュートを打ち返した。3点シュート6本に、フリースロー4本。すべて外から、両チーム最多の22得点。運動量豊富な守備でも前線から激しいプレスをかけて相手の司令塔を封じ、攻守で貢献した。

 津軽中3年だった2年前の優勝は、東京体育館の明成応援席で見ていた。「明成のバスケが憧れだった。(佐藤)久夫先生のもとでやりたくて、青森からここに来ました」。色白で68キロの細身ながら自分の生きるすべを探し続けた。「中は無理かなと。外で久夫先生に認められたかった」。全体練習後、自身に決めごとを作った。左右のサイドと45度、センターの計5カ所から3点シュート。2セットをミスなく終えるまで帰らない。時には1時間半を超える時もあった。

 決勝は待ち望んでいた相手。「総体決勝でも負けているし、3年生最後の試合でリベンジして有終の美を飾らせてあげたい」。磨き続けた3点シュートで頂点に立ってこそ、満点に近づく。【鎌田直秀】