18年平昌五輪金メダル候補の小平奈緒(31=相沢病院)が1500メートルで1分56秒60の2位に入り、既に代表入りを決めている500メートル、1000メートルに続き、3種目目の代表入りを確実とした。同種目で金メダルを狙う中長距離のエース・高木美帆(23=日体大助手)に1秒78差をつけられ敗れたが、低地での自己記録を更新した。3度目の五輪に向け「金メダルへの方程式」も披露した。五輪代表は男子8人、女子10人を上限に今日30日に正式発表される。

 前日の1000メートルに続く高木美とのダブルエース対決を、小平は全身で楽しんでいた。今季W杯4戦全勝の相手の土俵も、スタートから攻めた。700メートル過ぎに逆転を許し、1000メートルとは逆の結果になったが、しっかりと自己ベストを更新。「好きなように滑れたし、滑っていて気持ちが良かった」と五輪前最後のレースを笑顔で締めた。

 高木美ら世界のトップとは差があるが、1500メートルでの五輪出場は、目標の500メートル金メダルにつながる重要な意味を持つ。五輪での競技日程は1500、1000、500の順。レース後には「方程式」という言葉を使い、「500で金を取るために1000で銅以上が必要とすれば、1500でも入賞圏内にはいたい」と思いを語った。

 長い距離で良いレースが出来れば、短い距離での後半の伸びにつながる。同時に、世界記録を持つ1000メートル、昨季から無敗の500メートルの前に1レースを経験することで、五輪独特の緊張感を減らす意味もある。3枚目の切符をつかんだ女王も「メンタル的にも大きい」とうなずいた。

 06年トリノ五輪、当時信州大1年の小平は、1500メートルを含め5個のメダルを取ったシンディー・クラッセン(カナダ)の距離を問わずに戦う姿に憧れ、短距離に加え、1500メートルも取り組み始めた。クラッセンが1500メートルで金メダルを獲得した映像は「見ていると安心して寝られる」と就寝前に何度も見てきた。31歳で迎える3度目の五輪。「一番好き」と話す思い出深い距離を滑った先に、求め続けてきた景色が待っている。【奥山将志】