韓国と北朝鮮は9日、南北軍事境界線上の板門店の韓国側施設「平和の家」で、2年1カ月ぶりとなる南北当局間会談を開いた。韓国代表団は、北朝鮮が韓国・平昌冬季五輪に参加すると正式に表明したと明らかにした。首席代表は閣僚級で、南北会談は韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領の政権発足後では初めて。文氏は北朝鮮の五輪参加を実現させ緊張緩和につなげたい考えで、会談の行方は朝鮮半島情勢に大きく影響する。

 代表団の首席代表は韓国側が趙明均(チョミョンギュン)統一相、北朝鮮側は対韓国窓口機関、祖国平和統一委員会の李善権(リソングォン)委員長。双方とも五輪関連部署の次官や幹部が含まれている。会談冒頭、趙氏は「急がず根気を持って臨み、良い結果を出したい」とし、李氏は「同胞に新年の素晴らしい結果を届けられるようにしたい」と強調した。李氏は会談の公開を提案したが、韓国側は非公開を要望した。

 趙氏は板門店に出発前、ソウルで記者団に「五輪が平和の祭典となり、南北関係改善の第一歩にもなるよう努力する」と述べた。李氏は会談前に韓国記者団から展望を問われた際は「うまくいくだろう」と答えていた。

 五輪参加を巡っては北朝鮮側の韓国への移動経路や滞在費用の負担などを議論。合同入場行進や応援団派遣も話し合われるとみられる。ただ、韓国側による費用負担などは国連安全保障理事会の制裁決議や韓国の独自制裁に抵触するとの指摘もあるため、韓国側の対応が注目される。

 南北関係改善についても話し合われる見通しで、韓国は軍事境界線付近での緊張緩和措置や、2015年10月を最後に行われていない南北離散家族再会の実施などを提案する可能性がある。

 北朝鮮の核・ミサイル開発阻止につながる成果が得られるかどうか、国際社会も会談を注視。トランプ米大統領は6日、会談に強い期待感を表明し「五輪問題を大きく超える協議に発展すれば素晴らしい」と述べた。(共同)