平昌冬季五輪(ピョンチャンオリンピック)フィギュアスケート男子で2連覇した羽生結弦(23=ANA)が27日、日本記者クラブで会見を行い、フィギュアスケートにおける技術と芸術について持論を展開した。

 今季までの数シーズンで男子フィギュア界では、4回転ジャンプの種類と数の進化が急激に進んだ。その結果、技術点がどんどん引き上がり、来季は4回転ジャンプの数の制限や、基礎点の引き下げなどが国際スケート連盟(ISU)によって検討されている。今後の流れを問われた羽生は「5回転、4回転半が主流になることはこの50年はない。それ(を跳ぶこと)が、主流になってしまったら『ジャンプ選手権』になってしまう」と、過度なジャンプ競争にはしたくない考えを示した。

 難しいジャンプを跳べば跳ぶほど、プログラム全体の芸術性が失われていくのでは、という意見もある。だが、羽生自身にとっては、高い技術と芸術は表裏一体のものだという。「もし、羽生結弦が4回転半、5回転を入れた場合は、それを確実に表現の一部にします。僕のスタイルは、そこ。僕がフィギュアスケートをやっている理由はそういうところにほれ込んだから。難易度と芸術のバランスは、本当は無いんじゃないかなと思います。芸術は、絶対的な技術に基づいたものであると僕は思っています」。

 磨かれた技術が高度なジャンプにつながり、それが結果として美しい芸術になる。ルールに関係なく貫かれている羽生の美学が披露された。