「海老沼先生」は大人気だ。柔道男子66キロ級五輪2大会連続銅メダルで8月のジャカルタ・アジア大会団体戦73キロ級代表の海老沼匡(28=パーク24)が4日、東京・講道館で行われた「全国少年大会合同錬成」で小学生から人気を集めた。

 講師役として参加した海老沼は4人の現役選手の中で1番人気。100人近くの子どもたちに背負い投げを指導した。「背中が相手のおなかにくっつくこと」などポイントを分かりやすく、丁寧に説明した。実技の合間には握手や乱取りを求められ、大忙しだった。「(渋滞の影響で昼食が食べられず)おなかが減っていたけど、子どもたちの元気と笑顔をもらって疲れも空腹も吹っ飛びました。最高のエネルギーチャージになりました」と、笑顔で汗をぬぐった。

 昨年12月に長女の奏暖(かのん)ちゃんが誕生した。柔道パパになるかと思いきや、自身が柔道の厳しさを知っているため「娘に柔道をやってほしい気持ちもあるけどやらせたくない」と複雑な心境を明かし「柔道にかかわらず、何かしら一生懸命にやってほしい。最終的には娘が決めることで、親は口出ししません」と話した。

 昨年、減量苦により階級を73キロ級に上げた。73キロ級は世界王者の橋本壮市(26=パーク24)やリオデジャネイロ五輪金メダルの大野将平(26=旭化成)らがいる激戦階級だ。66キロ級では実績があるが同階級では「挑戦者」と捉えている。4月の選抜体重別選手権では準決勝で大野を下し、決勝で橋本に負けた。アジア大会に向けては「代表に選んでもらって挑戦出来ることは幸せだし、全力を尽くすだけ。良い結果を出してアピールしたいです」と言葉に力を込めた。