世界12位の錦織圭(28=日清食品)が2年8カ月ぶりのツアー優勝に王手をかけた。過去2勝7敗と苦手にしていた同25位のリシャール・ガスケ(フランス)に、1度もサービスゲームを落とさず、7-6、6-1のストレート勝ち。大会3度目の優勝を懸け、今日7日、同32位のメドベージェフ(ロシア)と対戦する。錦織は16年2月のメンフィスオープンで優勝して以来、決勝7連敗中だ。

大好きな舞台に戻ってきた。今大会は、錦織が最も勝ちたいと願っている大会のひとつ。その決勝に、4年ぶりに帰ってきた。「また戻ってこられて本当にうれしい。ここは、自分にとって、本当に大事な場所なんだ」。思わず言葉に力が入った。

完璧な出来だった。最後は、持ち味のフォアの決定打で打ち抜いた。左手でこぶしをつくり、何度もガッツポーズ。「1回戦から、本当にいいプレーができている。すべてがうまく運んでいる」。大きく負け越しているガスケに、1度もサービスゲームを落とさなかった。

第1セットのタイブレークが、すべてだった。「相手のサーブが良かった」ため、なかなかブレークできず「我慢のテニスだった」。相手は、今大会、戦った6セット中、5セットがタイブレークで全勝。しかし、錦織も全仏からタイブレーク10連勝中だった。「気持ちを切り替えて攻撃的に集中した」。錦織に軍配が上がった。そして、そのまま押し切った。

昨年の8月に負った右手首の脱臼から、今年の1月下旬に復帰した。しかし、ツアー下部大会のチャレンジャー1回戦で、世界238位の選手に敗れた。その日から、約8カ月。「もう100%の状態だ。年末にはトップ10に復帰したい」。自信がみなぎる。

決勝は、予選から勝ち上がってきたメドベージェフが相手だ。対戦成績は1勝0敗だが「ちょっと変なテニス」と警戒する。しかし、優位は動かない。もし勝って優勝すれば、8日発表予定の最新世界ランキングで11位、最終戦出場権レースでは9位になる。地元でのツアー2年8カ月ぶりの優勝は、錦織の完全復活の宣言だ。【吉松忠弘】

◆WOWOW放送予定 7日午後0時55分から、午後3時15分から。ともにWOWOWライブ。シングルス決勝ほか。生放送。