世界9位で、前哨戦優勝の錦織圭(29=日清食品)が、相手のけいれんに助けられた。予選勝者で同176位のマイクシャク(ポーランド)相手に3-6、6-7の2セットダウン。しかし、第3セットの序盤で、マイクシャクの体の多くがけいれんし、3-6、6-7、6-0、6-2、3-0、と錦織がリードしたところで、相手が途中棄権した。

国内も国際大会も、現在、けいれんでは治療時間のタイムアウト(メディカル・タイムアウト=MTO)を取れない。通常のケガなどは、1カ所につき3分、1回だけ、試合中に治療時間が取れる。しかし、けいれんは、自然な体力消耗のうちのひとつの症状として判断され、チェンジコートの1分半の間に、処置を受けなくてはならない。

マイクシャクは、主審に、治療時間のMTOを申し入れたが、主審もレフェリーも却下。そのため、チェンジコートの時間だけで、マッサージを受けていた。

96年以前も、けいれんは治療を受けられなかった。しかし、95年全米1回戦で、松岡修造が試合中に全身けいれんに襲われ、コート上でのたうち回った。触れば敗退が決まるため、誰も助けられず、それがテレビで放送され、あまりにも残酷だという理由で、96年以降、けいれんでも治療を受けられるルールができた。それを、世界のテニス界では「シューゾー・ルール」と呼んでいた。

しかし、今度は、それを悪用して、リズムを乱す選手が出てきた。また、試合時間も長くなるなどしたため、再びけいれんでは治療時間が取れなくなった経緯がある。