16歳の望月慎太郎(Team YUKA)が、日本男子初のジュニア世界1位になることが分かった。カルロス・ヒメノバレロ(18=スペイン)に6-3、6-2で勝ち、4大大会のジュニアで、日本男子として、史上初のシングルス優勝の快挙を達成した。その望月に、新たな勲章が加わった。ジュニア最新世界ランキングは、今日15日に発表予定だ。

昨年末に、ジュニア世界122位だった望月が、わずか半年で、120人以上をごぼう抜き。聖地のジュニア王者に加え、ジュニア世界王者に躍り出る。日本男子史上初のジュニア4大大会シングルス優勝の快挙にも「実感はない」といたって冷静だが、どんな舞台でも、自分のテニスを貫き通す度胸が、彼の武器のひとつだ。

決勝戦の前に、大会はジュニアの精神面を気遣い、舞台の1番コートを下見させる。センターコートに次ぐ1万2345人の収容人員を誇る舞台は、ジュニアにとって過去最大規模だ。しかし、望月は、2~3秒ながめただけで「思ったより大きくないです」と話したという。

試合前に、指導する山中夏雄コーチは、望月に、どういう試合をしたいのかを答えさせた。「1つの試合。平常心でプレーする」。そして、山中コーチが「口で言うのは簡単だけど、良く冷静にプレーできた」と舌を巻くほど、通常の自分のスタイルを押し通した。望月を支援する盛田テニス基金の盛田正明会長は「いい意味で不思議な子」と評する。それは、山中コーチが言う「マイペースなくそまじめ」と通じるところがあるかもしれない。

IMGアカデミーでは、常に、選手の体調を管理しているが、以前、望月は、水分不足が指摘されていた。喉が渇いたら水分を取るだけで、その量が基準より低かったというのだ。そのため、昨年10月の試合で、全身けいれんに襲われた。「死ぬかと思った」。山中コーチによると、胸あたりまでけいれんが来ていたという。

それ以来、山中コーチは「水分を取れ」と口酸っぱく話した。そうすると、くそまじめに「がっぽ、がっぽと飲むわ、飲むわ」(山中コーチ)。逆に、すぐに尿意をもよおし、1セットが終わると、必ずトイレタイムを取るようになった。しかし、「けいれんもなくなり、あまり疲れることもなくなった」。

課題は、175センチ、64キロの体格を、今後に向けて、少しでも大きくすることだ。それには「間食OK」(山中コーチ)。2時間に1回はバナナやバーなどの栄養補給食を取る。もちろん、大好きなチョコレートも問題ない。背はまだ伸びているが、山中コーチによると「180センチ行くのが最大かな」。

今後は、年末までに、可能なら2~3週間のトレーニング期間を2回ほど取り、体のバランス、バネなどを鍛える。次戦の目標は、9月1日に開幕する全米オープンのジュニア部門だ。そして、10~11月には、一般の大会に出場予定だ。ウィンブルドン王者、ジュニア世界王者の本当の挑戦は、今、始まったばかりだ。

◆WOWOWでは、15日午後6時から車いす男女シングルス決勝を、18日午後3時15分から男女シングルス決勝ほかを、ともにWOWOWライブで録画放送。