男子は清水礼留飛(れるひ=26、雪印メグミルク)が逆転で初優勝した。1回目は88・5メートルで6位だったが、2回目に最長不倒93メートルをマークしてトップに立った。7日のワールドカップ(W杯)男子個人第3戦(ロシア・ニジニタギル)で、チームメートの佐藤幸椰(24)が初優勝した。14年ソチ・オリンピック(五輪)団体銅メダリストは、後輩の活躍に発奮し世界舞台への復帰を目指す。

  ◇   ◇   ◇  

1回目が6位でも、清水は焦らなかった。「毎年(冬の)開幕の1本目は8割失敗する」。スタートダッシュを狙い、力み過ぎてしまう。それを理解した上で「思い切って攻めたジャンプをしてみた」という2回目は、納得の1発だった。93メートルでK点を越え、あとは結果を待つのみ。優勝が決まると、素直に喜びを爆発させた。

名寄での2連戦初戦。表彰台にも立ったことがなく「鬼門だった」という。その苦手意識を克服した。「僕は今日か明日に優勝しないと、コンチネンタル杯に出られないと分かっていたので、結果的に今日優勝できて良かった」と、自らに課したミッションを果たした。

1週間前、後輩の佐藤幸がW杯を初制覇した。清水も自分のことのように喜んだ。すぐにLINE(ライン)で「幸椰、ついにやったな!」と祝福した。ジャンプ選手にとってW杯優勝は特別だ。14年にマークした5位が最高の清水は、その難しさをよく知る。チームメートが結果を出し「すごくいい刺激がチームに流れてる」。ともにトレーニングを積み、苦しんだ。8月の長野・白馬合宿では相部屋で、ジャンプ論を熱くかわして過ごした仲間の快挙は、このまま信じて突き進むためのモチベーションを高めた。

団体で銅メダルを獲得した14年ソチ五輪後は伸び悩んだ。そんな時、中学、高校、社会人1、2年目のジャンプを見返した。「すごいおもしろかったし、なんか気持ち良さそうに飛んでるなって思って」と、考え過ぎている自分に気づいた。今は「考えたらきりがない。今に集中するように意識を変えたら楽になった。ちゅうちょしないで自分のリズムでできるようになった」。今季の目標は「W杯でポイントを取りたい」。世界舞台への復活へ、五輪メダリストとなった二十歳の時のように、目をキラキラさせていた。【保坂果那】