2年連続で1月1日に苦渋を味わった。スコアボードには「15-24」が残る。9点差の敗戦に、石見智翠館の安藤哲治監督(46)がその思いを口にした。

「Aシードに勝つか、負けるかの試合をしてくれた。今年のチームは最初、めちゃくちゃ弱かったので…。初戦も越えられるのかわからない力だった」

熱戦を繰り広げた選手たちをたたえると「本音」が出た。

「ちょうど1年前と同じ場所、同じ会場で、敗者インタビューを受けたんです。また帰って来ちゃったな…という感じ」

石見智翠館は2大会連続、正月決戦で敗れた。あのときと同じ光景が今、目の前に広がる…。花園第3グラウンド横の小さなテント。冷たい風が当たる中でも悔しさを押し殺し、温和な表情で語る。

「勝てるチャンスも見えた試合。数少ないチャンスをものにした。3年生30人が途中でフェードアウトすることなく、全員で役割を持ってやってくれた」

そんなインタビューの途中、真横で勝者インタビューを受ける京都成章の湯浅泰正監督(55)に託した。「簡単には…負けないで下さいよ」。穏やかだった表情は、一瞬キリッと。フィフティーンが懸命に戦った後だからこそ、とっさに出た本音だった。

そしてまた表情を戻して言う。「みなさん来年の1月1日は勝者インタビューで会いましょう!」。壁に当たったなら、必死にぶち破ればいい。チーム力の向上は、その腕に託される。【真柴健】