前回大会準優勝で選抜大会を制したAシードの桐蔭学園(神奈川)が大阪桐蔭(大阪第1)に31-12で快勝し、5大会連続で4強入りした。

2大会前は準決勝で、前回大会は決勝で敗れた相手に“3度目の正直”で雪辱し、節目の花園通算50勝。19年W杯日本大会でも活躍した日本代表FB松島幸太朗(26=サントリー)を擁した10年度以来、単独では初の優勝まであと2勝とした。抽選の結果、5日の準決勝は常翔学園(大阪第2)-御所実(奈良)、桐蔭学園-東福岡の顔合わせに決まった。

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因縁の相手に勝利した瞬間、桐蔭学園の選手たちは両手を突き上げ、笑顔になった。後半まで、攻め込まれるシーンはほとんどない完勝。パスをつなぐ相手を、ことごとく跳ね返した。プロップ床田淳貴は「ディフェンスだけに集中した」と前半無失点に満足の表情。攻撃でも少ないチャンスを生かし4トライ。過去2大会分の悔しさを晴らした。

1年時から花園に出場しているSO伊藤大祐主将は「三度目の正直。やってきたことに自信はあった」と笑顔。2大会前の準決勝は64回もの連続攻撃で迫ったが、あと1メートルが届かずトライを奪えず、5点差で敗れた。前回大会決勝は2点差で涙をのんだ。それだけに勝利の味は格別だった。

大一番を前に「ONE TEAM」で準備した。前日ミーティングで、控えのフランカー粟飯原(あいはら)謙が、発表資料作成ソフトを駆使し、大阪桐蔭の歴史や方針などを説明。3回戦の県浦和を前に、藤原監督が行った同様の作業に触発され、直訴した。「少しでも興味を持ってもらえたら」と校名に共通点がある両校の関係性や他部の活動なども細かく示した。“講義”を聞いた伊藤大主将は「相手を知ってリスペクトし、挑戦者の気持ちで戦うことができた」と効果を明かした。

開幕前の昨年12月下旬に母校を訪れたOB松島からエールを送られた。松島を擁した10年度以来、単独で悲願の初優勝を狙う藤原監督は「ようやく7合目まで来た」と口にした。準決勝の相手、東福岡には前回大会の準決勝で勝ち、昨年4月の選抜大会でも67-21で大勝しており、相性がいい。初の単独日本一へ、気を緩めることなく頂上まで登っていく。【松熊洋介】