「日本柔道の花形」と形容される男子最重量級にフランス人の絶対王者が君臨している。100キロ超級で五輪2連覇、世界選手権8連覇のテディ・リネール(30)だ。このほど、日刊スポーツの取材に応じた。【取材・構成=峯岸佑樹】

   ◇   ◇   ◇

リネールには、五輪金メダルの他にも夢がある。それは、子供たちの願いをかなえることだ。自身は、恵まれた体格と努力で柔道界の大スターとなった。しかし、トップアスリートになれるのは「ごくわずか」と現実を受け止める。スポーツ関連の学校を開校した理由を聞いた時、「将来、子供たちがスポーツ選手になれなくても、それに関わる仕事に就けるような支援をしたかった」と説明した。柔道は「趣味の一環」と捉え、母国に何で貢献出来るかを常に考えている。今ではリネールらトップ選手の尽力もあり、柔道は人気競技となり、フランス柔道連盟の登録者数は日本の4倍の約60万人を誇る。

30分の取材で、自分のこと以上に子供たちの未来を考えているように感じた。記者の安易な考えで、ダメもとの手形をお願いしても「相撲、相撲!!」と笑いながら、丁寧に対応してくれた。まさに、強さと優しさを兼ね備えた世界一の王者。引退後、フランスの大統領になってもおかしくないと思わせるようなナイスガイだった。