昨年優勝のビックカメラ高崎が昨年3位のトヨタ自動車に1-10の大差で敗れた。

先発した日本代表のエース上野由岐子投手(38)はまさかの乱調で4回7安打6失点(自責6)。5四死球と制球が定まらず、精彩を欠いた。決勝トーナメントをのぞいたリーグ戦での6失点は自己ワースト。コロナ禍で昨年11月の同リーグ決勝以来、約10カ月ぶりの登板となったが、来夏の東京オリンピック(五輪)に向けた大事なリーグ戦で好スタートを切ることはできなかった。

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「楽しみ」と語っていた約10カ月ぶりの公式戦は笑顔のないまま終わった。「手応えのあるボールはなかった」と言うように、初回から3四死球を与えるなど、制球が乱れた。「先制してもらった後で申し訳なかった」と反省したが、その後も修正できず、4番古沢には3打席連続適時打を許した。3者凡退はなく、5四死球を与え、4回93球で降板となった。

投球中は珍しく、険しい表情や、首をかしげるシーンも見られた。「自分の体の感じが感覚的にしっくりこなかった。スキル不足だった」と肩を落とした。自粛期間中に習得したという新球も試したが、手応えを感じることはなかった。

昨季は4月に打球を受け、左あごを骨折したが、8月の代表戦で復帰。11月のリーグ決勝トーナメントでは1日で2試合を投げ抜き、優勝に導いた。今季は7月22日、38歳の誕生日で開幕するはずだった東京五輪も控え、3月の開幕に向け準備していたが、前半戦は中止に。それでも「特にやることは変わらない」と気持ちを切らさず、普段通りの調整を続けてきた。

6月にはあごのプレートが外れ、万全の状態で今大会を迎えたが、日本のエースを一目見ようと集まった観客を喜ばせることはできなかった。「楽しもうとして緊張感がなかった。力みすぎたのかも」。リーグ戦は11試合の短期決戦だけに重い1敗。対外試合が少ない中、来夏の五輪に向けても大事な一戦で結果を残せなかった。「いい経験ができた。来週以降全部勝つつもりでいく」。次節12日のHonda戦へ、前を向いた。【松熊洋介】

○…トヨタ自動車が相手エース上野を打ち砕き、日本代表3投手から11安打10得点で快勝した。米国代表のエース、アボットがコロナ禍で合流できていない中、4投手の継投で強力打線をわずか2安打1点に抑えた。3安打4打点の古沢は「前の打者がチャンスを作ってくれた。(上野は)追い込まれたら打ち崩せないとチームで話していた。甘い球を狙っていった結果だと思う」と話した。