古豪の秋田工が花園に帰還する。出場68度、優勝15度はともに全国最多で、3大会ぶりに聖地に向かう。WTBナイバルワガ・トマシ(3年)は、フィジー代表FLで99、03年にワールドカップ(W杯)に出場したセタレキ・タワケさん(53)を父に持ち、重戦車のようにパワフルなトライゲッターだ。102-0で男鹿工を圧倒した県予選決勝では6トライと爆発。「最終的な目標は日本代表でW杯」と父が立った最高峰を自身も目指す。

178センチ、78キロのナイバルワガの憧れは、9歳まで過ごした母国フィジー代表WTBジョシュア・トゥイソバで、昨年のW杯は3試合出場2トライ。ウェールズ戦では171センチ、92キロの分厚い体で、3人のディフェンスをなぎ倒しながらトライを奪った。「自分も足の速さよりパワーでいくタイプで参考にしている」。一方、日本代表WTBのスタイルは「スピードというかステップを生かしたプレーで、自分は苦手」と正直に話す。

秋田工OBで天理大2年の兄セタさんを追い、卒業後は同大に進学する。幼いときでW杯戦士の父が勇敢に戦う姿は、YouTubeでしか見られていないが、その父は試合観戦にたびたび訪れ「僕と兄貴のラグビーに関しては厳しいです」とナイバルワガは笑う。有終の美を飾る。「全国は秋田と違ってレベルが高いが、花園は初めてだし高校最後。思い切り楽しみたい」。87年度以来の優勝へパワフルなトライで突破口を開く。【山田愛斗】