全日本バレーボール高校選手権(春高バレー)は来年1月5日、東京体育館で開幕する。東北6県の男女代表校を紹介する「春高で輝く」の第4回は宮城編です。女子の古川学園は16年連続41度目の出場。今年は9大会ぶりの決勝で東九州龍谷(大分)に敗戦し、悲願の日本一には届かなかった。新チームは期待の司令塔・熊谷仁依奈(1年)が試合を組み立て、キューバ人留学生のバルデス・メリーサ(3年)の決定力を生かす攻撃バレーが身上だ。初戦は誠修(福岡)と日立二(茨城)の勝者と対戦する。

古川学園の新ホットラインが、21大会ぶり4度目の日本一に導く。10月の県予選決勝では、セッター熊谷が上げるトスに、身長185センチのエース・メリーサが反応。最高到達点320センチを誇る高い位置から放つスパイクが、面白いように決まった。メリーサは「(熊谷は)いつもしっかり練習していて、いつでも良いトスを上げてくれる」と信頼。複数のブロックを簡単にはねのけ、29得点を挙げて優勝に貢献した。

決勝の舞台でも、熊谷は冷静にプレーし「相手はメリーサ先輩にマークをつけてくる。(野呂)桃花(3年)先輩のレフトに集めたり、ミドルブロッカーの速攻を使った」とメリーサ一辺倒にならずに、得点源を固定しない攻撃も意識した。岡崎典生監督(52)は「1年生セッター熊谷が上手だった。初の決勝でも落ち着いて上げてくれたので、春高でも心配ない。自信もついて、さらに良くなる」と期待する。

熊谷は昨年の春高決勝を観戦し、躍動する先輩たちの雄姿を目に焼き付けた。「選手1人1人が輝いていた。必死にやることを大切に、去年達成できなかった日本一を必ず取りたい」と頼もしい。目標の選手は身長159センチながら、女子日本代表のセッターとして活躍した竹下佳江さん(42)で、「身長が高くなくても世界で戦えるということを学んだ。視野も広くて、プレーでも躍動感のある選手になりたい」。期待のニューフェースのトスが、日本一へ輝く放物線となる。

【相沢孔志】