92年バルセロナ五輪柔道男子71キロ級金メダルの「平成の三四郎」こと古賀稔彦氏が24日、死去した。53歳だった。

関係者によると、昨年からがんの闘病中で24日朝に亡くなった。

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バルセロナ五輪で金メダルを獲得する2年前、1990年4月29日には、全日本選手権で準優勝した。

階級制が当たり前となっている中、体重無差別の全日本選手権を、まさに「柔よく剛を制す」で勝ち上がっていった。

出場選手中最軽量の76キロで100キロ台の相手を次々と破り、準々決勝では最重量155キロの相手に勝った。準決勝も激しく動き回って108キロの相手を下し、連覇を狙う小川直也との決勝に進んだ。

169センチ、76キロの古賀は、193センチ、130キロの小川に奥襟をつかまれ動きを封じられた。7分過ぎ、強引な払い腰をこらえた直後、足車で宙を舞った。畳の上に大の字になった古賀の目に涙があふれた。「武道館の天井は初めて見た」。

敗れてもなお、古賀強し、そう思わせる歴史的な出来事だった。