始まりの春がやって来た。新たなスタートを切る各界の個人、団体を紹介する連載「春START UP」の最終回。アイスホッケー女子のDF山下栞(18、苫小牧東高出)が早大入学に伴い、道路建設ペリグリンから西武に移籍した。19年世界選手権の日本代表で、今年3月に苫小牧市内で行われた日本代表候補合宿に参加。新天地から世界選手権(5月、カナダ)のメンバー入りを果たし、22年北京オリンピック(五輪)を目指す。

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山下がライバルだったチームに飛び込む。苫小牧を拠点とする道路建設ペリグリンを卒業し、東京を拠点とする西武の門をたたく。「楽しみな気持ちもあるけど、不安な気持ちもある。チーム方針が違うから」。これまでスピードを生かしたスタイルのチームだったが、パワーで打開するスタイルに変わるという。カラーの違いに対応できれば、さらに成長できると信じている。

アイスホッケー愛と家族のバックアップで突き進んできた。大阪府出身。3歳からアイスホッケーを始めた。14年ソチ五輪のスマイルジャパンを見て「この舞台に立ちたいと思った」。強豪でプレーするため、小学6年から家族で苫小牧に移住した。日本選手権最多優勝(今年で20度)の道路建設ペリグリンでのプレーを希望していたからだ。2歳上の姉で現西武FW光(20)と同じ道を歩み、早大進学も姉の影響。スポーツ科学部では「英語とトレーナーの勉強がしたい」と、今後へ生かそうとしている。

3月の日本選手権では中学1年から6年間過ごした道路建設ペリグリンでの最後の試合を優勝で飾った。「とてもいいチームで離れるのが惜しいけど、また頑張りたい」と誓う。

DFとしてスピードあるバックスケーティングで相手の攻撃を封じる守備力が武器。19年世界選手権を経験。20年は中止となったが、今年の大会の日本代表候補に挙がる。その先にすでに日本が出場を決めている22年北京五輪が待つ。「五輪に出たい。北京もその次の(26年)イタリアも」。夢をかなえるための新たな挑戦がスタートした。【保坂果那】(おわり)

◆山下栞(やました・しおり)2002年(平14)4月28日、大阪・豊中市出身。3歳からアイスホッケーを始める。苫小牧青翔中1年から道路建設ペリグリン入り。18、19、20年U-18世界選手権、19年世界選手権出場。家族は両親と姉。158センチ、50キロ。