空手の東京五輪代表の植草歩(28=JAL)が香川政夫前選手強化委員長からパワーハラスメントを受けたと訴えた問題で、全日本空手道連盟(全空連)がパワハラを認定しなかったことが、15日に公開された文書で明らかになった。

全空連は9日の理事会で、竹刀を用いた練習で植草の目を負傷させたとして、香川氏からの選手強化委員長としての辞職願を受理せず、解任の処分を下していた。直後の報道対応では、パワハラ行為の有無や具体的な処分理由については明言を避けていた。

今回の文書では理事会での決議理由について、香川氏の指導内容が「選手強化分野における『最高指導者』の立場」に照らした上で、連盟への「社会的信頼を損なうもの」と認定。強化トップとして「適格性に欠ける」と示した。

また先に行われた倫理委員会での聞き取り調査には「限界があった」ことを認めた上で、「現場の混乱の収拾とアスリートの環境整備を最優先事項として考慮」したと説明した。

竹刀を用いた練習による目の負傷にも、植草側からの申告は多岐にわたっていたが、「その余の事実については認定しておりません」と報告。そのうえで、香川氏を選手強化委員長から解任した以上、さらなる調査には「及ばないもの」とし、帝京大で行われている内部調査の結果を「注視」するとした。