ムロオ関西大学ラグビーAリーグは18日、京都・宝が池球技場の同志社大-関大で開幕する。昨季は天理大が全国大学選手権初優勝を飾り、関西勢として36大会ぶりの頂点に立った。日刊スポーツでは新たな風が吹く関西リーグの、注目チームや選手をピックアップしてお届けします。

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名門復活へ-。37季ぶりの大学日本一を目指す同志社大は昨季、新型コロナウイルスのクラスターで全国大学選手権を辞退。今春は全国2連覇が懸かる天理大に35-19で勝利した。関西リーグ開幕戦は9月18日の関大戦(京都・宝が池球技場)。SH田村魁世主将(4年=桐蔭学園)を中心に、6季ぶりの関西制覇で日本一に弾みをつける。

目前に迫った関西リーグ開幕へ、同志社大の実戦練習は自然と熱を帯びた。

「おい、ちょっと来いよ!」

激しい攻防を発端に小競り合いが起こるほど、例年以上の緊張感が漂った。昨季は全国大学選手権を辞退し、今夏も新型コロナウイルスの影響で北海道合宿が中止。毎朝7時半から走り込み、ボール争奪戦にこだわった。SH田村は「他の大学は夏合宿をしているかもしれない。でも僕たちは暑い中で走った。忍耐力がついた」と自負し、部内で厳しく鍛え上げてきた。

7月、春季トーナメント決勝で王者天理大を破った。華麗な攻撃が伝統だが、ボール争奪戦で優位に立ち、相手の反則を誘発した。

「天理が日本一になって『関西も関東に通用する』と目標になった。秋も絶対に勝ちます」

U20(20歳以下)日本代表で共に戦ったWTB和田悠一郎(4年=東海大大阪仰星)、FB山口楓斗(4年=東海大福岡)らタレントを巧みに操る。

東京五輪陸上女子1500メートルではスポーツ健康科学部4年の田中希実が、8位入賞の歴史的快挙を達成。同じ学部の田村も文武両道を目指すために、桐蔭学園から同志社大へ進学した。田中とは英語の少人数クラスが一緒で、常に教室の最前列で学ぶ姿を見てきた。

「リュックを背負って、普通にそこを歩いているのに…。すごい選手は普段、オーラを出さない。これこそが文武両道。本当にすごくて、刺激になりました」

会話したことはないが、自然と力がみなぎった。

最終学年はロック南光希(4年=東海大大阪仰星)と共同で主将を担い、自身が下級生の頃から続けてきた自主練習の輪も徐々に広がってきた。目標は平尾誠二さんを擁した84年度以来、37季ぶりの日本一だ。

「春、天理戦に向かった気持ち。あのメンタルを毎試合作りたい。チャレンジャー精神を持ち続けます」

華麗な展開ラグビーに、加わったのはボール争奪戦の激しさ。名門が復活を遂げる時が来た。【松本航】

◆今季の関西大学リーグ 開幕節第1日は同志社大-関大の1試合。翌19日に立命大-関西学院大、近大-天理大(ヤンマースタジアム長居)が予定され、京都産業大-摂南大はコロナ禍での部活動休止の影響で10月24日に延期。第2節までは無観客。今季から勝ち点制を採用し勝ち4点、引き分け2点、負け0点。ボーナス点として7点差以内の負け、勝敗に関係なく4トライ以上で1点を追加。上位3チームが全国大学選手権に進む。