今年3月の世界選手権(ストックホルム)で初出場2位に輝いた鍵山優真(18=オリエンタルバイオ/星槎)が、まさかの7位発進と出遅れた。ジャンプにミスが続いて80・53と得点を伸ばせず。大台に乗っている自己ベスト100・96点より20点以上も下回った。

今大会の出場者で最上位となる世界ランキング4位のため、最終滑走で登場。「When You're Smiling(ウェン・ユア・スマイリング)」を演じたが、冒頭の4回転サルコーが両足着氷となる。続いて4回転トーループからの2連続ジャンプの予定が、抜けて3回転トーループの単発となってしまい、得点を得られなかった。最後のトリプルアクセル(3回転半)は決めたものの「思い出せるのは、ひどいミスが続いてしまったということだけ。サルコーのミスから、どうしたらいいんだろう…と対処できなかった。そこが大きな問題。最低限のミスで収めなければいけなかった。ノーミスを目指していたので、すごく悔しい」と厳しい口調で振り返った。

シニア1年目だった昨季のGPシリーズはNHK杯で優勝したが、新型コロナウイルス感染拡大の影響による変則開催で国内勢との戦い。今回は海外GP初参戦だった。それが想定外の初日となり「6分間(直前練習)でサルコーのミスがあって、本番でもミスしたらどうしようと不安になってしまった」と反省した。

「去年の(世界選手権)銀メダリストだから、とか考えてなくて。今季は一から挑戦者。去年の成績は考えてないし、去年のことは振り返りたくない。去年は去年。今は新しい自分」という姿勢ではいた。先月の22年北京オリンピック(五輪)テスト大会アジアンオープントロフィー(中国)で優勝した後、練習も国内で十分に積んできた。

しかし「今季は、自己ベストを更新しないといけない、そこに向けて攻め切ろうという目標があって、行こう行こう、と逆に焦ってしまった」という。「サルコーの後のトーループを決めなければいけないのに。焦りが出てしまった。得意のジャンプなので、技術的なことではなく気持ち的なことが原因」と自己分析した。

これまでSPではミスが少なく、自分でも信じられない状況となったが、終わったことだ。翌6日(日本時間7日)のフリーへ「もう何も考えることはないので、ただひたすら、本当に思い切ってやるしかない。今日のことを引きずっても仕方ないし、そうすると絶対に明日も悪くなると思うので。反省は今日までにして明日の朝、起きたらしっかりフリーへ気持ちを切り替えて頑張りたい」。言葉通りだ。無心の演技で巻き返すしかない。【木下淳】