日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(64)が30日、都内で定例会見を開き、前日29日に札幌市が2030年の冬季オリンピック(五輪)・パラリンピックの招致を目指して大会概要案を発表したことを歓迎した。

JOCは20年1月、理事会で札幌市を国内候補地に正式決定。その後、夏季の東京五輪の延期があったことから、閉幕後の今年9月後半から国際オリンピック委員会(IOC)と協議を本格化させた。その中で招致に向けて「全力で取り組みたい。東京2020大会はスポーツと社会のあり方を考える大きな契機となった。札幌でも持続可能な社会のあり方を発信するチャンス」と力を込めた。

決定時期については「IOCの2030検討委員会や理事会で議論されることなので、推測で話すことはよろしくない」。ライバル都市は「カナダのバンクーバー、米国のソルトレークシティー、スペインのピレネー・バルセロナ、ウクライナ(都市未定)が、動きに強弱はあるが開催に向けて意思を示している」と答えたが「IOCも伝えてくれないもので」と報道ベースの把握と強調した。

かねて決まっていたこととはいえ、賛否両論あった東京五輪の直後の立候補となった。反発もある中で「昨日の秋元市長の発言にもあったが、札幌市民、北海道民、日本国民がどれだけ支持するかが重要であろうと。概要を丁寧に、ご理解いただけるよう説明していくことが大事。できるだけ費用をかけないように、共生社会も実現していく」と理解を求めた。

札幌市は既存施設の活用や新設会場ゼロなど、経費も約900億円を削減して2800億~3000億円とする案を打ち出した。「札幌市は10年後、20年後、30年後を考えており、これからの開催都市に求められることでもある。JOCが目指しているものと合致している」とも強調。札幌市が年明けに行う説明会や意向調査へ「選手たちとも緊密に連携して、ご理解いただけるようにしたい」と支持率向上に意欲を見せた。【木下淳】