ラグビーの新リーグ「リーグワン」は、8日の神戸(旧神戸製鋼)-浦安(旧NTTコミュニケーションズ)戦(神戸ユ)で幕を開ける。7日の東京ベイ-埼玉戦がコロナ禍で中止。8日正午開始のこの試合が、事実上の開幕戦となった。神戸は6日、練習を公開し日本代表FB山中亮平(33)が決意表明。かつて日本選手権7連覇を達成した名門が、前身のトップリーグに続く初代王者を目指す。

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神戸市内の灘浜グラウンドには、先人たちの汗が染みこんでいる。遠くには製鉄所から上がる白煙。寒風が吹く中、開幕に向け仕上げた山中は新リーグ開幕に向けた決意を新たにした。

「神戸にはOBの方々が作り上げたレガシーがある。トップリーグ(TL)で初代王者になって、僕たちもここから新たな歴史を作りたい。初年度の王者になるのは大事。そこは狙っているところです」

新築したクラブハウス通路には、1905年の創業から始まり栄光の歴史が刻まれている。94年度の日本選手権7連覇の偉業。その直後に神戸を襲った阪神・淡路大震災。そこからの復興とともに、03年度のTL初年度の優勝。時代は移り変わっても「鉄人」としての矜持(きょうじ)は変わらない。TL初年度は山中がラグビーを始めて1年が過ぎた中3の頃だった。

「見ていなかったですね。7連覇も知ってはいますけど、記憶にはない。でも神戸の歴史は学んでいる」

コロナ禍で7日に国立競技場で予定された開幕戦(埼玉-東京ベイ)が中止。神戸-浦安戦が新リーグの幕開けとなる。この日、先発メンバーを発表。相手FBには、オーストラリア代表として73キャップを持ち、スーパーラグビー最多となる通算60トライの記録を持つフォラウが入った。

「世界ナンバーワンFB。高さがあってハイボールも強い。他のところで勝負しないとうまくいかない」

同日には花園で母校の東海大大阪仰星が、国学院栃木との決勝戦を迎える。

「神戸も仰星も両方勝てるように。頑張りたい」

初代王者へ。新たな歴史を刻む。【益子浩一】

◆山中亮平(やまなか・りょうへい)1988年(昭63)6月22日、大阪府生まれ。中2から競技を始め、東海大仰星3年時に花園で全国制覇。副将を務めた早大4年時に日本代表に初選出され、10年5月のアラビアンガルフ戦で初キャップ。19年W杯日本代表。18キャップ。188センチ、100キロ。

 

◇リーグワン展望 初代王座争いは昨季のトップリーグ(TL)4強に8強の神戸を加えた5チームが軸となりそうだ。A組はTL優勝の埼玉が中心。プロップ稲垣、SO松田ら代表多数で選手層が厚い一方、新型コロナウイルスの影響の程度が不安材料。神戸は日本代表プロップ具らFWの補強に成功した。B組でTL準優勝の東京SGはニュージーランド代表FBマッケンジー、オーストラリア代表CTBケレビらが融合し、総合力が高い。東京ベイは戦力の入れ替えが少なく、連係に磨きをかけている。トヨタは南アフリカ代表で新加入のデュトイ、日本代表の姫野らリーグ屈指のFW第3列が自慢。1部は昨季のTLから4チーム減となり、ピーキングや、均衡した試合での判断も鍵を握りそうだ。

 

○…埼玉は優勝候補が苦難の船出となった。チーム内で9人がコロナ陽性者となり、東京ベイとの開幕戦(7日、国立)は中止のため勝ち点0。チーム活動を休止しており、16日の第2節東葛戦開催も不透明な状況だ。昨季限りで現役引退した元日本代表の福岡堅樹アンバサダー(29)は「この悔しさをバネに、残る試合でより素晴らしいプレーを見せてくれると信じています」とツイッターに記した。

 

○…東京SGは新加入のニュージーランド(NZ)代表FBマッケンジーが、開幕BL東京戦で先発デビューする。6日にメンバーが発表され、相手の先発フランカーには日本代表リーチが名を連ねた。「ほほ笑みの貴公子」と呼ばれるマッケンジーは、前所属のチーフス(NZ)時代にリーチと同僚だった。「彼は素晴らしい人間。開幕戦で試合をする。連絡を取りながら、日本の生活を楽しみたい」と競演を待ちわびている。

 

○…浦安は新加入した元オーストラリア代表FBフォラウが先発する。空中戦で圧倒的な身体能力を披露し、突破力、パススキルを兼ね備え、15年W杯準優勝に貢献したスーパースター。19年のSNSの投稿が物議を醸して13人制に転向していたが、新天地に日本を選んだ。日本代表のムーアもフランカーで先発が決まり、移籍組が新風を送り込む。

 

◆リーグワン 03年から続いたトップリーグ(TL)を刷新し、地域密着を狙い、各チームが活動拠点の「ホストエリア」を設定した。3部制で全24チーム。1部は5月8日までリーグ戦16節を戦う。TL時代の16から減った12チームがA、Bの2組に分かれ、同組内で2回戦総当たり、別の組とは1試合ずつ交流戦として対戦。付与される勝ち点は勝ち4点、引き分け2点、負け0点で、7点差以内の負けは1点、3トライ差以上の勝ちは追加で1点が付与される。5月に、勝ち点の上位4チームによるプレーオフトーナメントで初代王者を決定する。