帝京大の岩出雅之監督(63)が9日の試合後、96年から26シーズン務めた監督業を退く意向を明かした。

早大、明大に続く史上3チーム目の2桁優勝を飾り「10回優勝させていただいて、いろいろな思いがありますが、細木の涙を見た時にグッときてしまった」。教え子に胴上げをされ、記者会見の最後にマイクを握ると、ゆっくりとした口調でこう伝えた。

「大学とも相談して、勝っても負けても、今日を終わりにしようと思っていました。帝京大学の監督は、この試合をもって、引退させていただく予定です」

フッカー堀江翔太(埼玉)、NO8姫野和樹(トヨタ)ら日本代表だけでなく、数々の卒業生が各界に巣立った。現役時代は日体大で日本一を経験し、滋賀・八幡工高などで教員として勤務。96年に帝京大の監督に就任すると、全部員を寮住まいとし、日常生活から指導した。雑用は上級生が率先して担い、下級生は不安なく練習に取り組む-。新しい流れは09年度からの9連覇につながり、多くのチームが手本とした。

決勝2~3日前には主将の細木へ退任の意向を伝え、監督として最後になる教え子たちが最高の花道を作ってくれた。後任は昨年10月にコーチとなったOBで07年W杯日本代表の相馬朋和氏(44)が務める見込み。後任について具体名を挙げなかった岩出監督も「次の人がしっかり頑張ってくれると思います。一番いい時に渡せて良かった」。登録23人中、下級生は14人。日本一を置き土産に、帝京大のバトンは次代へと託される。