体操女子で12年ロンドン、16年リオデジャネイロ五輪代表の寺本明日香(26)を、小学生の頃から育てたレジックスポーツの坂本周次コーチ(67)も25日に大阪・八尾市内で行われた引退会見に同席した。

同コーチは「(左足の)アキレス腱(けん)を切ったことと、右足の古傷が、もう(現役を)やれないほど彼女を苦しめた。最後は指導するというよりも、見守りました」と明かした。

壇上では笑顔の寺本の横で二人三脚で歩んできた長い道のりを、こう振り返った。

「リオ五輪で終わるんじゃないかと思っていました。他の選手が『東京を目指す』となり、『私もやりたい』となった。日本中の人(選手)が、東京にオリンピックが決まって『目指す』となったんじゃないかなと思います」

東京五輪へと目標を定めた寺本だったが、コーチの目にはこんな風に映っていたのだという。

「マラソンを走り終わって、ゴールテープを切っているのに、まだ走っている。東京五輪は補欠になった時、『私の足はもう、もたないです。(五輪に)選ばれても行けない』。そう言っていました」

限界を超えてまで走り続ける教え子を、ただ見守るしかなかったという。

「今回、引退試合をやることになり、やっと踏ん切りがついたのだと思いました」

個人8位、団体4位だった16年リオ五輪が、最も印象的な思い出となった。

「『リオに坂本先生を連れて行きます!』と言ってくれて、私も付いていきたい気持ちがあった。小学生から教えてきて、『先生を五輪に連れて行く』と言ってくれたこと。大人になったんだなあ、と。私の気持ちが分かってくれたんだ、と。そう感じました」

苦楽をともにし、ようやく笑顔で引退会見をする教え子を、優しい目で見つめていた。【益子浩一】