女子50メートルバタフライで池江璃花子(21=ルネサンス)が、9月のアジア大会(中国・杭州)内定を手にした。決勝で25秒49をマークして2連覇を達成。派遣標準記録25秒66も突破した。3月の国際大会日本代表選考会では0秒12届かず代表入りを逃した。アジア大会の追加選考会を兼ねた今大会初日に、4年ぶりの個人種目での国際大会出場を決めた。

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タイムにとらわれず、勝つことを意識した。池江はスタートは出遅れたものの、後半にぐんぐんと伸びた。体を大きくしならせるダイナミックなフォームで他を圧倒した。「3月の選考会では失敗してしまったので、それを繰り返さないように、自分の泳ぎをすることを心がけた。特にこの種目では、優勝を目指していた」。レース後には悔し涙に暮れた約2カ月前とは打って変わり、晴れやかな表情を浮かべた。

3月の日本代表選考会では25秒78で2位。派遣標準記録に0秒12届かず、世界選手権代表を逃した。状態の仕上がりには手応えを感じていただけに、「心のダメージは大きかった」と打ち明ける。「とにかくタイムを狙いたい一心だった」と派遣標準記録を意識しすぎた当時を反省。この日は先頭で泳ぎ切ることを重視した。

結果は25秒49で、3月からタイムを0秒29縮めた。派遣標準記録25秒66も突破した。白血病から復帰後最速タイムをマークし、学生日本記録も0秒07塗り替えた。「自分ができるすべては出すことができたかな」と笑顔を見せた。

これで9月のアジア大会(中国・杭州)の出場が内定した。個人種目での国際大会出場は、6冠を成し遂げた18年アジア大会以来4年ぶり。「(9月の)アジア大会では上位に食い込めるように頑張りたい」と意気込む。

今大会には、この日の種目を含めて自由形とバタフライの計5種目にエントリー。29日には200メートル自由形に出場予定だが、「(その種目で)代表を狙いたい気持ちは強くない。今後のために体力をつけたいと思いエントリーした。結果にこだわらず臨みたい」と自然体を強調。それでも、「(50メートルバタフライは)1番優勝を狙っていたレース。あとは流れに乗っていければ」。残り3日間。勢いを、さらに加速させていく。【奥岡幹浩】

◆池江の50メートルバタフライ 自己ベストは18年欧州グランプリ優勝時の25秒11で日本記録。復帰後は21年日本選手権優勝時の25秒56が最高で、当時の学生新記録だった。今年3月の国際大会日本代表選考会では25秒78にとどまった。同種目は非五輪種目。