今季から新リーグが開幕したラグビーの「リーグワン」は、最終節までドタバタの中止が相次いだ。

7日正午前になって、同日に開催予定だったリコーブラックラムズ東京-NTTドコモレッドハリケーンズ大阪戦(秩父宮)の中止を発表。試合開始約2時間半前に出された突然の中止決定だった。

NTTの再編により大阪は来季から規模を縮小し、3部降格になる方向で、これが「最後の試合」だった。既に交通機関を利用して会場に向かっていたファンも多いはず。

ドタバタの中止はなぜ起きたのか-。

 

大阪側の発表によれば、以下の動きがあったという。

 

◆5月2日 選手、スタッフ全員のPCR検査で13人が陽性判定を受ける。

◆3日 再検査の結果、陽性者13人のうち7人が陰性。リーグ側に確認し試合実施を判断。

◆5日 3度目のPCR検査で、1人を除く全員の陰性を確認。試合開始48時間前にメンバーを登録。

◆6日 午後8時ごろにリーグから時系列の確認が入り、3日の再検査が認められない可能性があると通達を受ける。「状況を確認すると3日の再検査の話がリーグ内で伝達されていなく、判断ミスをしたと突然の通達。チームは保健所からも陰性と認められて試合を行えることを主張したが、試合を中止にする方向となった」(大阪側)。

◆7日 午前9時半にリーグから正式に中止を通達される。

 

試合5日前とはいえ、2日に13人もの陽性者を出していたという。その後、5日には「1人を除く全員の陰性を確認」したとしているが、再検査の結果に関してリーグ側から「判断ミス」があったと通告されたことを主張している。

前節(1日)の本拠地最終戦も陽性者を出して中止になっている大阪側からすれば、1部でのラストマッチは是が非でも開催したかったはず。一方でコロナ禍も影響し、リーグ側には冷静な判断が求められた。

ただ、もっと早く的確な決定ができなかったのか。

前日6日にはトヨタヴェルブリッツ-東京サントリーサンゴリアス戦(7日、瑞穂)の中止を発表。トヨタ側に陽性者が出たためで、この試合の中止によりプレーオフ(PO)に進出する4チーム(東京SG、埼玉、東京ベイ、BL東京)が決まるという、まさかの事態が起きていた。

PO進出への可能性を残すトヨタの緊迫感ある試合や、1部から去る大阪の最後の勇姿を期待したファンは多かったはずだ。

コロナ禍で過去に経験したことのない判断が求められたシーズンとはいえ、あまりにも後味が悪いリーグ最終節になってしまった。【ラグビー取材班】