大学ラグビーで初の日本一を目指す東海大CTB伊藤峻祐主将(22=桐蔭学園)は、チームを生まれ変わらせようとしている。

15日は神奈川・秦野市の同大学グラウンドで大東大戦(関東春季リーグ戦)に臨み、59-40で勝利を収めた。試合後は「1試合を通じて、攻める守備を続ける必要がある」と振り返り、チームの課題を分析した。

反省の言葉を口にしたのには理由がある。今年1月の全国大学選手権。日本一を目指した東海大は、準決勝で明大に敗れた。3年生ながら出場した伊藤は、試合直後の心境を思い返す。「自分たちの力を出し切れなかった」。日本一を逃し、悔しさが募り積もった。

勝つためには何が必要なのか。

新主将に就任し、チームの課題を明確にすることから始めた。前チームの4年生は主将のジョーンズリチャード剛(23=現静岡ブルーレヴズ)を筆頭に、個々の能力に優れ、優勝候補にも目されていた。しかし、チームとしてのまとまりに欠ける面もあり、目標には届かなかった。もう悔しい思いはしたくない。新4年生の結束を強めるべく、自主的に同学年の部員とミーティングを開き始めた。

話し合いの場を持つと、仲間も同じ思いを抱いていたことが分かった。個々の力量に頼るのではなく、チーム全員で守ろう。チームカラーの「青」を念頭に「ブルーウェーブ」という合言葉を決め、攻めの守りを徹底することにした。

プレーだけではない。私生活も含めて強い結束を生むために、4年生同士で「鎖」という新スローガンを据えた。鎖と書いて「チェーン」と読む。読み方を工夫したのは、外国人留学生も理解できるようにという配慮からだ。全員が目指すべき方向を明確した。

そうして迎えた春のリーグ戦。東海大は攻めの守りに磨きをかけ、連勝スタートを切った。2トライを決めた伊藤は、真剣な表情で言葉を紡ぐ。

「自分にはこれといった強みがない分、誰にでもできることを泥臭く続けたい」

試合中は何度もチームメートに声をかける姿があった。悲願の日本一へ向け、新主将は泥臭くピッチを駆け回る。【藤塚大輔】