クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(東京ベイ、リーグ3位)がチーム初の単独3位をつかみとった。強力なスクラムに加え、精神面での成長を遂げ、王者への階段をもう1段上った。

昨季は準決勝で敗退。3位決定戦が開かれなかったため、トヨタ自動車と並んでの3位だった。

劣勢をはねのけたのは、力強いスクラムだった。前半11分で東芝ブレイブルーパス東京(BL東京、リーグ4位)に0-12とリードを許す展開にも動じない。前半18分にスクラムを起点に敵陣へ攻め込み、FBゲラード・ファンデンヒーファー(33)がトライを決めると、徐々に流れは東京ベイへ。WTB山崎洋之(24)が2トライを決めて逆転し、前半を17-15で折り返した。

23-15で迎えた後半29分には、プロップのオペティ・ヘル(23)が危険なタックルでシンビン(10分間の一時退場)となり、数的不利に陥った。しかし、懸命な防御を続け、相手の突破を許さなかった。控え選手を含め、ベンチ入りの23人全員が出場し、そのまま逃げ切った。初の単独3位を手にし、試合後は爽やかな笑顔でハイタッチを交わした。

主将のCTB立川理道(32)は「新たな歴史を築き上げることはできたと思う」と手応えを口にした。

新リーグになり、優勝を目指して戦ってきた。昨季活躍した19年W杯南アフリカ代表フッカーのマルコム・マークス(27)に加え、新たに今季途中からW杯ジョージア代表のジャバ・ブレグバゼ(35)が加入。優勝を勝ち取るため、スクラムの強化に取り組んだ。

進歩したのは、戦略面だけではない。昨季に引き続き、メンタルコーチの指導のもと、精神面での成長にも重きを置いた。立川は「過去のマイナスのことではなく、次に大事なポイントを話すようにした」と、今季の成長を口にする。苦しい試合を戦い切れるよう、練習時からポジティブな声かけに努めてきた。

3位決定戦で、オレンジ色のジャージーを身にまとった大柄のラガーたちは、何度も円陣をつくった。スクラムやラインアウトのたびに、前向きな言葉を交わし続けた。冷静さを保ち、後半を無失点でしのいだ。

初の単独3位。立川は「結果に満足はしていない」としたうえで、飛躍の言葉を続けた。

「若い選手やチームにとって、この苦しいプレーオフの経験を来季に生かしたい」

悲願の初優勝へ-。東京ベイは確かな成長を手にし、来季へ臨む。【藤塚大輔】