オリンピック(五輪)出場を夢見る21歳が、金メダリストに初めて勝った。二階堂蓮(日本ビール)が合計217点で優勝した。小林陵侑(25=土屋ホーム)は3位だった。

1回目に最長不倒131メートルをマークして首位に立った。2回目は118メートルと距離を伸ばせなかったが、リードを守った。めまぐるしく風の条件が変わる試合だったため、「当たり外れがある大会だった。終わってみれば優勝だけど、実感がわかない」と、喜びは控えめだった。

条件や状態の違いが理由だった。北京五輪後、テレビやイベント出演で多忙だった小林陵は、例年より練習を多く積めていない。この日も試合後「筋力が全然ない」と口にしていた。だから「どちらも万全な状態で最高潮の調子で優勝したかったって思いはある」と二階堂。真っ向勝負での勝利の時に心から喜ぶつもりだ。

競技に専念するため大学を1年で退学し、昨季は個人で活動した。スポンサーを募って活動費を集めた。派遣会社に登録し、ライブ設営スタッフや田植え作業のアルバイトもこなした。

今年3月、転機があった。日本ビールがスキー部を立ち上げ、所属が決まった。唯一のメンバーとして、バックアップを受けながら活動する。所属先へ感謝し「優勝したのでいい報告ができる」と笑顔を見せた。

4年後のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪を目指し、「開幕戦からW杯メンバーに入って、五輪へ成績を重ねていけたら」と今季の目標を掲げていた。