フィギュアスケート女子の18年グランプリ(GP)ファイナル女王で、昨季は右足首疲労骨折のため全休した紀平梨花(20=トヨタ自動車)が2季ぶりに競技会復帰した。

昨年4月17日の世界国別対抗戦(大阪)女子フリー以来525日ぶり、約1年5カ月ぶりとなる実戦リンクへ。シニア転向後では初めての出場となる地方ブロック大会から再出発した。

SNSで「構成を落として」と前言していた通り、この日は高難度ジャンプを封印した。ダブルアクセル(2回転半)から入って3回転サルコー-2回転トーループの2連続、最後は3回転トーループに。56・69点で20人中(棄権1人)6位の発進となった。2回転半と3回転トーループが、ともに出来栄え点(GOE)加点なしの0・00だったことが現状を物語った。

覚悟の上だ。SPの自己ベストは世界歴代3位、日本人最高の83・97点(19年世界国別対抗戦)を誇るだけに「見慣れない数字だったので、ガックシきた」と苦笑いした。しかし「完治が優先」は譲れない。本来はトリプルアクセル(3回転半)を跳べる中、フリーでは4回転サルコーまで決められる中、基礎点が低いジャンプから段階的に取り戻していく段階を踏んだ。

「トリプル(3回転ジャンプ)の練習を初めて1週間。その割にはジャンプが跳べたので良かったかな。(予定構成で)点数の計算もしていなかったので、何点を狙えばいいんだろうと(笑い)。ひとまず演技内容としては、ベストな演技ではなかったんですけど、大きなミスなく終われたので、次につながる演技はできたのかなと思います」

「右足は2日前に練習を2回したら痛くなって、昨日はオフにしました。足のことを考えれば本当は出たくなかったんですけど(ここで出場しないと権利を逃す)全日本を捨てるのは、ちょっと無理と思って出ることを決めました」

昨季は右距骨(右足首)の疲労骨折で全ての競技会を欠場。3連覇が懸かっていた全日本選手権や、その先の北京オリンピック(五輪)出場を逃した。

まずは全日本選手権(大阪・東和薬品RACTABドーム)への再びの出場が目標だ。その予選の第1ラウンドが今大会だった。先月の国際大会チャレンジャーシリーズ(CS)には参戦しなかったため、この中部ブロック予選が免除にならず、シード権も昨季全休で失っていることから、今大会の出場が必須となっていた。

「完治まで、もう少し。まずは2日間を乗り切りたい。(翌25日の)フリーでもトリプルは1種類かなと思います。ここは悪化せず無事に、とにかく通過できたら。まずは早く治して、全日本で上位に行って、また世界選手権や4大陸選手権に出たいんです」

26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪へ。かつて全日本2連覇の紀平が、ジュニア時代の17年以来となる50点台から再起の1歩を踏み出した。【木下淳】

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